海外展開

2022年1月号 コロナ禍における推進工法の海外展開活動

  官民連携による日本の推進工法の本格的な海外展開活動が開始されてから10年が経過しました。この活動は徐々に実を結び東南アジアにおける本邦企業による大規模な推進工事が施工されています。この推進工法の海外展開活動のドライビングフォースは、推進工事の国内市場の縮小に伴って、新たな市場を海外に求めなければならないというような受動的要因はもちろんありますが、下水道管路をはじめとする国内の地下インフラ整備を60年以上に亘って担ってきた日本の優良技術を、これから本格的にインフラ整備が開始される国や地域で再度活躍させたいという熱い想いが根底にあると考えています。
 最近の海外展開活動の成果は、このような想いのもと官民が連携しそれぞれの立場での積極的な活動が結実してきていると考えています。具体的には外務省、国土交通省、経済産業省をはじめとする関係官庁が先陣を切って相手国との橋渡しをしていただき、その後JICAの案件化調査、事業形成、技術者交流などの事業を官民一体となって進めることによって、より確実かつ迅速に海外展開活動を実施することができました。また、地下インフラを実際に計画・建設・運営する実務者である地方自治体の事業運営ノウハウを、海外のプロジェクト形成に生かしていくような取り組みが多くなってきたことも大きな力となりました。
 しかし、2019年12月に中国で最初に感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に蔓延し2020年1月30日に世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」として緊急事態を宣言しました。現在(2021年11月)の感染者は2億6,000万人、死者515万人となっています。感染防止のために各国は感染地域のロックダウンをはじめ海外との交流の禁止・制限措置を講じ、日常生活にも経済活動にも多大な影響を及ぼしています。これは進みだしてきた推進工法の海外展開活動にも大きな影響を及ぼしています。
 一方で、海外展開活動への逆風が吹き荒れる中で活動の火を絶やさない努力も見受けられます。本稿ではこれらの活動に焦点を当ててポストコロナ、ウィズコロナの推進工法の海外展開活動を探っていく一助にしたいと考えています。
 本誌では、過去にも数回推進工法の海外展開をテーマとした特集を行ってきており、パブリックセクターの活動、プライベートセクターの活動の意義、目的および現状の取り組みと将来展望などをご紹介してきました。本稿でも基本的はそれぞれのセクターごとにコロナ禍の海外展開活動を紹介したいと思います。
 読者の中には海外進出をもう既に行っている方、まだ進出には踏み切れなくても興味を持たれている方々、コロナ禍で進出を諦めた方もたくさんおられることでしょう。今回の特集を読んでいただいて、各セクターのコロナ禍での取り組みを参考にもう一度海外進出に向けて検討して頂ければ幸いですし、もう少し現在の海外での取り組みに注力したいと考えて頂ければ幸いです。日本の推進工法は海外から求められる技術であり、日本の推進工法にかかわる方々が「推進工法チーム日本」の旗印のもとに手を携えコロナ禍を克服するヒントが一つでも見つかれば、今回の特集の意義があったものと考えます。
(編集担当:森田弘昭)

巻頭言 令和4年年頭にあたり
国土交通省水管理・国土保全局下水道部長
植松 龍二
今月の推論 下水疫学調査(WBE調査 Wastewater Based Epidemiology)、世界中で実装へ その中で日本が世界をリード ─インフルエンザの流行予測も可能に─
北極星
新年のごあいさつ (公社)日本推進技術協会会長
中野 正明
総 論 コロナ禍におけるGCUS東南アジア委員会の活動
GCUS東南アジア委員会委員長 日本大学教授
森田 弘昭
下水道分野における水ビジネス国際展開の取り組みについて
国土交通省下水道部下水道企画課下水道国際・技術室国際技術企画係長
大森 匠
ベトナムにおける下水道整備の状況と推進工法の普及および定着に向けた取り組み
国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究室主任研究官 (前JICA専門家ベトナム建設省下水道政策アドバイザー)
茨木 誠
インドネシアにおける都市規模下水道の展開
JICA専門家公共事業住宅省衛生局下水管理アドバイザー
田中 松生
コロナ禍における海外展開
JICA専門家カンボジア王国公共事業・運輸省下水道管理能力強化プロジェクト
小松 海里
厚生労働省水道課の海外展開について
前厚生労働省医薬・生活衛生局水道課長
熊谷 和哉
公益社団法人日本推進技術協会の取り組み
(公社)日本推進技術協会専務理事
河井 竹彦
日本非開削技術協会の海外展開活動
前(一社)日本非開削技術協会事務局長
東京電力パワーグリッド㈱東京地区総括担当東京総支社道路設備渉外総括マネージャー
角川 順洋
(一社)日本非開削技術協会事務局長
金子 謙二
日本下水道事業団における国際展開について
日本下水道事業団国際戦略室長
岩﨑 宏和
解 説 ベトナムを現場とした管きょ汚水の特性把握
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授
原田 英典
北九州市立大学国際環境工学部・教授
安井 英斉
日本大学生産工学部土木工学科におけるグローバル人材教育について
日本大学生産工学部土木工学科・学科主任
小田 晃
横浜市の草の根技術協力を通じた海外水ビジネス展開支援
横浜市環境創造局下水道事業マネジメント課下水道国際担当係長
高橋 悠太
熊谷組の海外土木事業の再展開 ~推進技術と共に~
㈱熊谷組常務執行役員国際本部長
山崎 晶
コロナ禍での海外展開 ~ジャカルタにおけるチリウン川放水路・ブカシ水道・下水道(ゾーン1)~
機動建設工業㈱執行役員国際事業部長(台湾機動兼任)
刈谷 光男
ベトナム コロナ禍におけるハノイ市内での推進工事
鉄建建設㈱海外事業推進室ハノイ駐在事務所長
本島 浩孝
鉄建建設㈱海外事業推進室エンサ作業所長
張 俊業
鉄建建設㈱海外事業推進室エンサ作業所副所長
服部 満俊
ベトナム進出の経緯とホーチミンプロジェクトの進捗状況
ヤスダエンジニアリング㈱海外事業部専務取締役
安田 一成
コロナ禍における掘進機メーカの海外事業活動について
㈱イセキ開発工機建機事業本部副本部長兼建機営業部長(本誌編集委員)
佐藤 徹
ODAを突破口に海外展開を
JFEエンジニアリング㈱環境本部常務執行役員
福田 一美
ベトナムにおける硫化水素腐食調査と対策について
日之出水道機器㈱第1マーケティング統括グループ・執行役員
吉開 守
日之出水道機器㈱第1マーケティング統括グループ・マネージャー
市川 雅博
投 稿 琉球石灰岩層に海水取水管路を築造 ─アルティミット工法─
座波建設㈱工事部
比嘉 聡
㈱東京久栄エンジニアリング部
徳山 和男
機動建設工業㈱九州支店
藤原 敏之
随 筆 話題のインフラツアーに参加 3 〜阪神・淡路大震災の伝承施設〜
長野油機㈱製造部資材課
山口 雅永
ゆうぞうさんの山紀行 第71回 キナバル山登頂記
俳句会便り 第七十八回 中本郷顔記念「東雛」俳句会だより

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