2023/3/9
昨年も暑い夏でした。総務省消防庁によると昨年の5月から9月までの間、全国において熱中症で救急搬送された方は7万1千人を超えたとのことです。これは記録的な猛暑だった4年前の約9万5千人には及ばないものの、一昨年の約4万8千人から大きく増加しています。気象の変化は、やはり過激さを増してきていると言ってもいいのでしょう。猛暑ゆえの豪雨の発生も顕著となってきています。近年よく耳にする「線状降水帯」などによる「集中豪雨(130mm以上/3時間)」の発生もこの45年で2倍余りに増えてきているそうです(気象庁気象研究 ...
2023/2/10
昭和30年代から40年代の経済の高度成長を背景に、また、昭和39年の東京オリンピックや昭和45年の大阪万博等のイベントを契機に、利用者の安全や利便の向上を担う重要な社会基盤として我が国では重点的に様々なインフラが整備されてきました。これらのインフラは今後、老朽化が今後急速に進行することが予測され、それに伴い事故リスクが高まっています。米国では1980年代より損傷事故が発生し「荒廃するアメリカ」という象徴的な言葉により警鐘が鳴らされていましたが、2007年のミネアポリス高速道路崩落事故(州間高速道路35W ...
2023/1/10
明けましておめでとうございます。 新しい年である令和5年が始まりました。読者の皆様におかれてはそれぞれに新たな目標と抱負をもって新年を迎えられたことと思います。 昨年は、新型コロナ感染症が世界に拡大し始めた2020年度と比較にならないほどの感染者が発生し読者の皆様の職場や家庭などの身近な環境でも感染された方が多数おられたのではないでしょうか?一方で、屋外ではマスクを外しても良いという提案が出るなどコロナそのものに慣れwithコロナが日常化してきた1年間でもありました。また、海外渡航も緩和され従前の定期 ...
2022/12/10
近年多発する線状降水帯がもたらす水災害や予測される大規模地震への対応など、社会インフラ設備への防災・減災対策ならびに、施設の老朽化進行に伴う改築更新も喫緊の課題となっています。また、上下水道、ガス等のパイプラインのみならず、電気や電話回線等のケーブル類においても、地域防災の観点から地中化が勧められており、推進工法を含む非開削技術への要求が益々高まっています。 特に都市部の地下空間においては、土地の有効利用と生活の利便性向上を図るため、道路、地下鉄、地下街などの開発が進められており、水害対策として大型の ...
2022/11/10
本誌2020年4月号にSDGsの特集「脱炭素に向けて」がありました。施工を本業とする推進工事専門業者に属する筆者としては、メーカーの記事以外はもう一つピンと来なかったように記憶しています。そして同年の10月号「創刊400号記念〜担い手育成と市場拡大に向けて〜」という若手人材の特集号がありました。 この特集を読んだ時、私は推進業界でのSDGs「持続可能な開発目標」とは、各企業での人材確保と育成が一番必要な事項ではないのか?と感じた次第です。 土木学会誌など他の専門誌を見ると、施工会社だけでなく発注者や ...
2022/10/10
推進工法体系Ⅱ「計画設計・施工管理・基礎知識編」には「最少土被りは、掘削断面、土質条件、周辺の構造物及び施工方法等を考慮して十分なものとしなければならない。一方、大土被りについては、推進工法管に作用する地下水圧が管接手部における耐水圧の限度を超えるような場合は、検討する必要がある」とうたっています。 このように、土被りが推進工事に及ぼす影響は、土質条件と同様に大きな工法決定の要件となり、それに見合った設計、計画、施工に対し十分な技術的根拠に基づく検討が必要です。 このところ大断面のトンネル工法では、 ...
2022/9/10
今回の特集は、「長距離推進」です。推進工法は、戦後間もない頃の初施工(昭和23年)から70年余りが経過し、環境に優しい非開削工法として飛躍的に進化してきました。今日では、1スパン1000mを超える長距離推進や曲線半径が20m程度の急曲線推進といった長距離・急曲線推進も可能になり、交通への影響や管路構築上の障害を回避するなど社会的影響が少ない工法として社会に役立っています。また、小口径管の長距離推進や矩形BOX、呼び径3000を超える超大口径推進などの施工も増えてまいりました。 長距離推進は、地山を掘削 ...
2022/8/10
我が国における推進工法は世界に冠たる技術であり、他国では施工が困難あるいは到底考えられないような施工事例が数多くあります。そのような技術困難な施工には必然的にトラブルの発生要素が潜在し、従来と同じ施工管理のままでは本来安全で安心な施工技術である推進工法においても、施工中の災害あるいは施工後の第三者災害を含む様々なリスクがあります。推進工法は時々刻々状況が変化し、それに対して的確な判断と対応が要求される工法であるため、すべての施工現場で微細なトラブルをも皆無にすることは不可能に近いと思われますが、少なくと ...
2022/7/10
下水道展’22東京は2022年8月2日〜5日の4日間東京ビッグサイトで開催されます。 第一回下水道展は1987年に大阪で開催され、今年で35年となります。一昨年はコロナの影響により中止でしたが、昨年度は会場とオンラインの2刀流(ハイブリッド)での開催となりました。 現在もコロナ禍は続き、経済活動や消費活動の減少という多大な影響がでるなど社会情勢がかなり変化しました。 日本人はピンチになると、それを原動力として切り抜ける非常に高い能力を持っています。かつては、オイルショックで資源に制限がかかった時代 ...
2022/6/10
今月号の特集テーマである「鋼製管推進工法」は、(公社)日本推進技術協会では、鋼管をさや管として用いて本管を敷設する「鋼製さや管推進工法」と地上または地上付近から鋼製管を本管まで掘進し硬質塩化ビニル管等を本管に接続する「取付管推進工法」に分類されています。 鋼製管推進工法の歴史は、1960年代後半に鋼管を用いてボーリングマシンやアースオーガで水平方向に削孔する方法で行われていましたが、施工精度や適用延長に課題がありました。1970年後半には、方向制御機能を備えた圧入式、オーガ式が開発されました。しかし、 ...