2023/6/6
今泥濃式推進工法は、呼び径800~1500のサイズでは国内最多のシェアを占める工法となっています。これには下記のような歴史があると聞いています。 密閉式の泥水式・土圧式は1960年代後半から下水道等の管路整備に適用されるようになりましたが、これら先発の工法でも苦手な分野がありました。それは100mmを超えるサイズの巨礫でした。巨礫が出現すると当時の掘進機の性能では、いとも簡単に掘進停止に追い込まれたのです。 カッタヘッドにローラビットを搭載し、機内にはクラッシャーを装備する、軸抜きのリボンスクリュを ...
2023/5/2
今年度は、泥水式、土圧式、泥濃式それら3方式の大中口径管推進工法についての最新技術動向や施工事例および今後の展望などを述べていただく「応用・発展編」を特集しています。 今月号は、泥水式に続き、土圧(泥土圧)式の「応用・発展編」です。土圧式は、1970年代後半に、切羽の安定性を重視して周辺地盤への影響を抑えること泥水式の泥水処理設備等の地上設備を小型化にすることを目標のひとつとして開発されました。特に、切羽の土圧および水圧に対しては、カッタヘッドによる掘削・混練、地山の性状に合わせた添加材の注入とスクリ ...
2023/4/4
一昨年の本誌では、推進工法の主要な推進方式である泥水式、土圧(泥土圧)式、泥濃式の大中口径管推進工法「基礎知識編」を3号にわたり特集しました。今年は、その「基礎知識編」を踏まえて、それら3方式の大中口径管推進工法ついての最新技術動向や施工事例および今後の展望などを述べて頂く「応用・発展編」を今月から特集することになります。本特集号は、泥水式推進工法の応用・発展となります。 泥水式推進工法は、密閉型推進工法の大中口径において、我が国で最初に開発された工法であり、下水道管路を必要としている都市部の帯水沖積 ...
2023/3/9
昨年も暑い夏でした。総務省消防庁によると昨年の5月から9月までの間、全国において熱中症で救急搬送された方は7万1千人を超えたとのことです。これは記録的な猛暑だった4年前の約9万5千人には及ばないものの、一昨年の約4万8千人から大きく増加しています。気象の変化は、やはり過激さを増してきていると言ってもいいのでしょう。猛暑ゆえの豪雨の発生も顕著となってきています。近年よく耳にする「線状降水帯」などによる「集中豪雨(130mm以上/3時間)」の発生もこの45年で2倍余りに増えてきているそうです(気象庁気象研究 ...
2023/2/10
昭和30年代から40年代の経済の高度成長を背景に、また、昭和39年の東京オリンピックや昭和45年の大阪万博等のイベントを契機に、利用者の安全や利便の向上を担う重要な社会基盤として我が国では重点的に様々なインフラが整備されてきました。これらのインフラは今後、老朽化が今後急速に進行することが予測され、それに伴い事故リスクが高まっています。米国では1980年代より損傷事故が発生し「荒廃するアメリカ」という象徴的な言葉により警鐘が鳴らされていましたが、2007年のミネアポリス高速道路崩落事故(州間高速道路35W ...
2023/1/10
明けましておめでとうございます。 新しい年である令和5年が始まりました。読者の皆様におかれてはそれぞれに新たな目標と抱負をもって新年を迎えられたことと思います。 昨年は、新型コロナ感染症が世界に拡大し始めた2020年度と比較にならないほどの感染者が発生し読者の皆様の職場や家庭などの身近な環境でも感染された方が多数おられたのではないでしょうか?一方で、屋外ではマスクを外しても良いという提案が出るなどコロナそのものに慣れwithコロナが日常化してきた1年間でもありました。また、海外渡航も緩和され従前の定期 ...
2022/12/10
近年多発する線状降水帯がもたらす水災害や予測される大規模地震への対応など、社会インフラ設備への防災・減災対策ならびに、施設の老朽化進行に伴う改築更新も喫緊の課題となっています。また、上下水道、ガス等のパイプラインのみならず、電気や電話回線等のケーブル類においても、地域防災の観点から地中化が勧められており、推進工法を含む非開削技術への要求が益々高まっています。 特に都市部の地下空間においては、土地の有効利用と生活の利便性向上を図るため、道路、地下鉄、地下街などの開発が進められており、水害対策として大型の ...
2022/11/10
本誌2020年4月号にSDGsの特集「脱炭素に向けて」がありました。施工を本業とする推進工事専門業者に属する筆者としては、メーカーの記事以外はもう一つピンと来なかったように記憶しています。そして同年の10月号「創刊400号記念〜担い手育成と市場拡大に向けて〜」という若手人材の特集号がありました。 この特集を読んだ時、私は推進業界でのSDGs「持続可能な開発目標」とは、各企業での人材確保と育成が一番必要な事項ではないのか?と感じた次第です。 土木学会誌など他の専門誌を見ると、施工会社だけでなく発注者や ...
2022/10/10
推進工法体系Ⅱ「計画設計・施工管理・基礎知識編」には「最少土被りは、掘削断面、土質条件、周辺の構造物及び施工方法等を考慮して十分なものとしなければならない。一方、大土被りについては、推進工法管に作用する地下水圧が管接手部における耐水圧の限度を超えるような場合は、検討する必要がある」とうたっています。 このように、土被りが推進工事に及ぼす影響は、土質条件と同様に大きな工法決定の要件となり、それに見合った設計、計画、施工に対し十分な技術的根拠に基づく検討が必要です。 このところ大断面のトンネル工法では、 ...
2022/9/10
今回の特集は、「長距離推進」です。推進工法は、戦後間もない頃の初施工(昭和23年)から70年余りが経過し、環境に優しい非開削工法として飛躍的に進化してきました。今日では、1スパン1000mを超える長距離推進や曲線半径が20m程度の急曲線推進といった長距離・急曲線推進も可能になり、交通への影響や管路構築上の障害を回避するなど社会的影響が少ない工法として社会に役立っています。また、小口径管の長距離推進や矩形BOX、呼び径3000を超える超大口径推進などの施工も増えてまいりました。 長距離推進は、地山を掘削 ...