雨水対策

2024年3月号 浸水対策

 「地球温暖化(Global Warming)の時代から、地球沸騰化(Global Boiling)の時代に移った」と言ったのは国連のグテーレス事務総長でした。昨年の7月のことです。温室効果ガスの抑制がなかなか進まない中、目の前の暑さ対策も不可欠であり、一義的には従前から行われている温室効果ガスの抑制であることは論を待たないでしょう。そして、この従前の気候変動対策から、より一層強い対策の強化が求められてくることでしょう。
 世界的規模で暑くなっている中、東京では昨年の猛暑日数22日はそれまでの最多日数16日を大幅に更新しました。熱中症患者の搬送者は全国で昨年を17千人ほど上回る89千人超でした。これは直近の5年間の中でも、平成30年に次ぐ高い数字となっています(総務省消防庁発表、熱中症による救急搬送状況実績)。暑さ同様に降雨の状況も激変してきています。一昨年の6月の台風2号による大雨では平年同月の2倍を超えた地点があったほか、同6〜7月の梅雨前線による大雨は九州の3県では1,200mmを超える規模となっています。また昨年8月の台風6号でも沖縄のほか、各地で平年値を超える記録的大雨となり、大きな被害を出したのは記憶に新しいところです。
 まさに国連事務総長の言う「地球沸騰化の時代」が到来しています。このような中で、下水道を始めとした浸水対策施設の整備は急ピッチで進められてきています。そして、その浸水対策において、推進工法は中心的役割を果たしてきていると言っても過言ではありません。
 今回の特集は、最近増大している集中豪雨と線状降水帯の発生のメカニズムから浸水対策における推進工法の各技術、管きょの特性、施工環境に応じた発進・到達工におけるそれぞれの工夫など、どのように行われているのかにスポットライトを当て紹介していきます。
 雨水対策に悩まれている機関や実施について検討されている技術者に対して、今後の参考にしていただければ幸いです。
(編集担当:高相恒人)

 

巻頭言 建設現場で働く「人」の魅力の発信
杉山 浩司
青木あすなろ建設㈱東京土木本店営業第一部長
(公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 上下水道一体の意義
智恵須 納人
総 論 国土強靱化と下水道による浸水対策
大上 陽平
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課課長補佐
橋本 翼
国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐
浸水対策の近年の動向と対策施設の計画・設計
古屋敷 直文
㈱東京設計事務所東北支社支社長
増加する降雨量への考察
藤田 昌一
元長岡技術科学大学環境・建設系教授
解 説 梅雨期に集中豪雨をもたらす線状降水帯
加藤 輝之
気象庁気象研究所台風・災害気象研究部部長
上野地区における地下街浸水対策施工事例
狩野 純一
東京都下水道局第一基幹施設再構築事務所工事第二課長
鈴木 卓朗
東京都下水道局第一基幹施設再構築事務所工事第二課工事担当・第一
三田 耕輔
大盛・鈴与建設共同企業体(特)現場代理人
隣接排水区の既設管きょ施設等を活用したバイパス管整備による浸水対策の推進
結城 義勝
川崎市上下水道局下水道部下水道管路課
山内 健久
川崎市上下水道局下水道部下水道管路課・課長補佐
浸水被害軽減対策下水道排水施設工事(弁天雨水3-1)
岡 宏次
千葉市建設局下水道施設部雨水対策課・主任技師
中村 幸和
㈱伊藤工務店主任
浸水対策と一時貯留施設の構築 ─内水圧に対応したデュアルシールド工法の採用─
小野塚 良明
㈱福田組東京本店土木部技術部
ラムサス工法 Smart犀による浸水対策
米森 清祥
サン・シールド㈱代表取締役
集水ますの浸透化による雨水対策
二瓶 秀明
全国非開削普及協議会事務局長
投 稿 非開削技術の開放〔防災・減災・災害復旧工への展開〕
酒井 栄治
㈱アルファシビルエンジニアリング代表取締役社長
森田 智
㈱アルファシビルエンジニアリング技術部長
随 筆 話題のインフラツアーに参加13
~廃線遺構とタウシュベツ川橋梁~

山口 雅永
長野油機㈱ 製造部資材課
ゆうぞうさんの山紀行 第97回 西伊豆達磨山ハイキング
藤代 裕三

 

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