雨水対策

2023年3月号 浸水対策

 昨年も暑い夏でした。総務省消防庁によると昨年の5月から9月までの間、全国において熱中症で救急搬送された方は7万1千人を超えたとのことです。これは記録的な猛暑だった4年前の約9万5千人には及ばないものの、一昨年の約4万8千人から大きく増加しています。気象の変化は、やはり過激さを増してきていると言ってもいいのでしょう。猛暑ゆえの豪雨の発生も顕著となってきています。近年よく耳にする「線状降水帯」などによる「集中豪雨(130mm以上/3時間)」の発生もこの45年で2倍余りに増えてきているそうです(気象庁気象研究所)。
 記憶に新しいところの昨年8月初旬の大雨は、新潟県や山形県で線状降水帯が発生し、雷を伴った猛烈な雨が断続的に降り続いたものでした。6日間の降雨期間における総降水量は、新潟県関川村で569mmという数字となっています。1 時間降水量でみても同関川村で149mmと一番多く、10 位までが72mmを超えています。このように計画規模を上回る豪雨の発生が多発しているとともに、放流先の能力不足等から内水氾濫による被害リスクが極めて高くなってきています。
 そこで、本特集では浸水対策における推進工法にスポットを当て、各地でどのように推進工法が活用されているのか、そこにおける工夫等の事例を紹介します。
 上記の推進技術を用いた技術や施工事例等が、本誌読者の参考になり、また各機関の情報共有に繋がることを期待するものです。
(編集担当:髙相恒人)

巻頭言 非開削アンダーパス工法の現状と今後の展望
長尾 達児
鉄建建設㈱土木本部副本部長(公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 似て非なるもの 水道と下水道
下水道老異端児
総 論 流域治水関連法による下水道法等の改正に係るフォローアップ
橋本 翼
国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐
特 集 浸水対策としての貯留管の設計事例
越石 博行
日本水工設計㈱東京支社下水道二部管路設計課課長
札幌市の内水氾濫軽減の取組
二上 雄斗
札幌市下水道河川局事業推進部下水道計画課技術職員
増強幹線の段階的整備による浸水対策 ~蛇崩川増強幹線工事~
西 博貴
東京都下水道局第二基幹施設再構築事務所工事第一課主任
清瀬市の浸水対策
佐伯 圭一
東京都清瀬市都市整備部下水道課施設計画係長
習志野市における浸水対策 ~鷺沼放流幹線整備事業~
寺本 康宏
日本下水道事業団東日本設計センター土木設計課長
黒田 哲也
日本下水道事業団東日本設計センター土木設計課
横浜市における浸水対策(郊外部の雨水幹線整備)
高橋 浩二
横浜市環境創造局管路整備課・課長補佐
今井 航平
横浜市環境創造局管路整備課
大阪市の浸水対策 ~近年の施工事例~
大田 健二
大阪市建設局下水道部調整課事業計画担当係長
内圧対応推進管(SR-JD)を用いた管路の強靭化(推力低減対策を講じ幹線管路を長距離推進)
最上 孝志
中川ヒューム管工業㈱仙台営業所課長
今野 雄祐
大栄建設㈱仙台支店工事部
随 筆 話題のインフラツアーに参加8 ~八ッ場ダム(利根川水系)~
山口 雅永
長野油機㈱製造部資材課
ゆうぞうさんの山紀行 第85 回 大山登山蓑毛から見晴台
藤代 裕三

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