2024/5/21
小口径管を推進可能な工法は、小口径管推進工法、鋼製管推進工法があります。このうち小口径管推進工法は、推進管の種類により高耐荷力方式と低耐荷力方式に大別されますが、低耐荷力管推進工法では主に、粗度係数が小さく軽量であるという特徴を有する硬質塩化ビニル管を使用します。一方で管材料が変形しやすく大きな力が作用すると管本体が損傷するおそれがあるため、先端抵抗力を推進力伝達ロッド等に負担させることや、二工程方式を採用することで、管の軸方向の負担を小さくする工夫が行われました。低耐荷力管推進工法の開発は1980 ...
2024/4/2
小口径管推進工法は、推進管の種類により高耐荷力管推進工法と低耐荷力管推進工法に大別され、高耐荷力管推進工法は、推進工法用管に全ての推進力を負荷させる工法として、1977年に最初の圧入式掘進機が導入されました。その後、地下インフラ整備の需要の高まりと社会環境の変化に呼応し、泥水式、オーガ式、泥土圧式と、次々に新たな推進工法が開発されました。 なお、泥土圧式は、排土方式によってさらに分類されており、最初にスクリュ排土方式が開発され、後に圧送排土方式、吸引排土方式が開発されています。 我が国の道路地下には ...
2024/3/10
「地球温暖化(Global Warming)の時代から、地球沸騰化(Global Boiling)の時代に移った」と言ったのは国連のグテーレス事務総長でした。昨年の7月のことです。温室効果ガスの抑制がなかなか進まない中、目の前の暑さ対策も不可欠であり、一義的には従前から行われている温室効果ガスの抑制であることは論を待たないでしょう。そして、この従前の気候変動対策から、より一層強い対策の強化が求められてくることでしょう。 世界的規模で暑くなっている中、東京では昨年の猛暑日数22日はそれまでの最多日数16 ...
2024/2/7
都市部の下水道整備は土地利用の高度化に伴い、用地の確保や交通事情などから非開削工法のニーズが高まり、それに呼応すべく推進技術は発展してきました。 この下水道に適したトンネル断面は土圧等の外圧に対する抵抗性や管内水理特性から円形が有利とされ、開削工法でも円形管が用いられてきました。推進工法の場合はカッタヘッドの回転で地山掘削できることが円形管の適用に対し合理性があるため、機械式密閉型掘進機が主流となりました。このような経緯から水道や電力、ガス、通信などの他の地下インフラ網も円形管路が主体となっています。 ...
2024/1/9
昨年は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きを見せるとともにそれまでは屋外では原則不要、屋内では原則着用としていたマスクの着用が令和5年3月13日からは個人の判断が基本となりました。さらに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」では、新型コロナウイルス感染症の位置づけを、それまで「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」としていましたが、5月8日から季節性インフルエンザや風疹、麻はしか疹、水みずぼうそう痘などが指定されている「5類感染症」に変更されました。 マスク着用が個人の判断 ...
2023/12/10
推進工法は、これまで様々な周辺技術に支えられながら進展してまいりました。推進延長については、最近は過去にはあまり例が無かった200mを超えるような小口径管推進や、500mを超える大中口径管推進がごく普通に施工されております。長距離推進になれば曲線施工を伴うケースも増えると想像できますが、曲線推進に対する対応の幅も大きく向上しています。このように長距離曲線推進が一般的に施工されるようになった背景には、推進工法に用いられる滑材や管材の性能向上、さらには計測技術などの周辺技術の発達が支えています。また、長距離 ...
2023/11/9
日本の推進工法は、昭和23年(1948)にガス管のさや管として内径600mmの鋳鉄管を軌道下の横断のために手掘り式で施工したのが始まりです。その後、昭和40年頃までは刃口式推進工法で電話ケーブル、水道およびガス管等のさや管として主要道路や軌道、用水路等の横断工事に採用する特殊な工法でした。この刃口式推進工法は、切羽が全面開放されており「地盤の自立」が必要条件で、崩壊性地盤や地下水を含む地盤では、切羽安定のため補助工法を必要としました。この問題を解決するために昭和40年過ぎから密閉型推進工法の泥水式推進工 ...
2023/10/2
現在、国際的な取り組みとして「SDGs」(持続可能な開発目標)が進められておりますが、その17ゴールのうち11番目に「住み続けられるまちづくりを」があります。また、国内においても「国土強靭化計画」が推進されていますが、これらは、安全で災害に強く社会インフラが充実した住みやすいまちづくりのことであると考えられます。 なお、先の東日本大震災において地下インフラ設備の安定性が評価されたことや、近年多発する線状降水帯による豪雨災害に伴う浸水対策など、それらの実現に向けて推進工法の果たす役割は多様化するとともに ...
2023/9/10
今月の特集は小(省)面積です。本来推進工法は、管敷設工事の中で、開削工事と比較すれば非開削工事であり、一般的に環境に配慮した持続可能な工法です。 従って、推進工事を紹介すればほとんどの工事が小面積に値するものと言っても過言ではありません。我々は推進工事を行うにあたり、より一層SDGsを意識しながら施工条件や地域環境に配慮し設計・施工に努めていきたいと常に思っています。 2008年12月号にて「省(小)面積化技術の現状と今後(小面積の光と影)」と題して特集しています。読み返せば、小面積立坑システムと事 ...
2023/8/8
今月の特集は「地下水と歩む」をテーマに推進工法やそれに関わる様々な技術を8年ぶりに紹介していきます。 土木工事において、環境負荷低減が求められ施工条件の制約や排水処理水の基準などがより厳しくなっています。 推進工事現場では、施工前に地形や土質、N値、土被り、水頭差などを検討し、工法や必要な補助工法などを選定します。その中でも特に地下水に関する項目は重要です。 土木に携わらない方には地下水というと井戸水のような綺麗で穏やかなイメージをされるのではないかと思います。筆者も以前は地下水についての知識がな ...