地下水

2023年8月号 地下水と歩む推進工法

 今月の特集は「地下水と歩む」をテーマに推進工法やそれに関わる様々な技術を8年ぶりに紹介していきます。
 土木工事において、環境負荷低減が求められ施工条件の制約や排水処理水の基準などがより厳しくなっています。
 推進工事現場では、施工前に地形や土質、N値、土被り、水頭差などを検討し、工法や必要な補助工法などを選定します。その中でも特に地下水に関する項目は重要です。
 土木に携わらない方には地下水というと井戸水のような綺麗で穏やかなイメージをされるのではないかと思います。筆者も以前は地下水についての知識がなく、推進業界に入ってから現場で苦労しました。透水係数を従来単位からSI単位になったにも関わらず従来単位と勘違いしたまま施工して難儀したこともありました。
 さて、推進工事はどのように地下水に対応していったのでしょうか?
 「推進工法体系Ⅰ推進工法技術編」には「概ね1970年半ばまでの大中口径管推進工法は刃口式推進工法が主流であり、切羽地盤の安定のために、補助工法としてウェルポイント、ディープウェル等の地下水位低下工法、薬液注入工法、圧気工法等の補助工法が必要とされていた。しかしながら、これらの補助工法は周辺地盤や地表構造物への影響があるなど工事価格の高騰というデメリットがあった」とあり、そのために密閉型掘進機が採用されるようになったとあります。
 本特集では地下水とは切っても切れない地下の掘削工事である推進工事において、地下水に対しどのように挑み工夫を重ね克服した推進工事の現場を紹介したいと思います。
 建設現場のひとつ一つの経験から生み出された新旧の技術が今後の施工に少しでも役立てれば幸いです。
(編集担当:宮地武士)

 

巻頭言 五方よしで明るい未来を
宮地 秀将
地建興業㈱代表取締役社長
(公社)日本推進技術協会監事
今月の推論 知ったかぶりのチャットGPT
全発連会長
解 説 地下水と歩む推進工法
中野 正明
機動建設工業㈱代表取締役社長
(本誌編集参与)
推進工事における地盤改良工法の計画と管理
吉田豊一郎
日特建設㈱事業本部
地下水位低下工法
ウェルポイント工法/ディープウェル工法/バキュームディープウェル工法

藤田 博
(一社)日本ウェルポイント協会代表理事
初期掘進や到達時の出水を防止し地盤を安定させる
スーパーウェルポイント工法

尾崎 哲二
スーパーウェルポイント協会東京支部
㈱アサヒテクノ東京支社
地下水位低下による防災技術・レジェンドパイプ工法の取り組み
橋ヶ谷直之
レジェンドパイプ工法協会
広報技術委員
高い地下水圧の施工に必要な推進管への対策について
平尾 慎也
㈱クリコン技術営業部部長
地下水を揚水するディープウェル施工時の管理ポイント
髙橋 直人
㈱日さく技術開発本部部長
随 筆 話題のインフラツアーに参加10 〜久慈国家石油備蓄基地〜
山口 雅永
長野油機㈱製造部資材課
ゆうぞうさんの山紀行 第90回 西穂高岳3度目の挑戦
藤代 裕三

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