小型立坑・省面積

2023年9月号 小(省)面積

 今月の特集は小(省)面積です。本来推進工法は、管敷設工事の中で、開削工事と比較すれば非開削工事であり、一般的に環境に配慮した持続可能な工法です。
 従って、推進工事を紹介すればほとんどの工事が小面積に値するものと言っても過言ではありません。我々は推進工事を行うにあたり、より一層SDGsを意識しながら施工条件や地域環境に配慮し設計・施工に努めていきたいと常に思っています。
 2008年12月号にて「省(小)面積化技術の現状と今後(小面積の光と影)」と題して特集しています。読み返せば、小面積立坑システムと事例、コマンド工法、ヒューム管推進工法の事例、狭隘な施工、短尺管使用事例等が紹介してありました。現在では小面積に対する認識や考え方がどのように進化または相違しているのかを確認できれば、将来の推進技術の発展に繋げるきっかけになるのではないかと思います。
 推進工事の歴史は、工法の技術進化が小(省)面積化を助長してきました。発進側では、地上設備のコンパクト化、地上推進設備が路下または車上での施工が多くなっています。発進立坑では、様々な工夫で小面積立坑の推進を行っていますが作業性の良否には限界があり安全性や精度管理の確保は重要な対応としなければなりません。到達側では、立坑省略方式として、既設直接到達や掘進機の外筒外殻残置などの方法が数多く行われています。さらに立坑省略ではシールド内発進等があります。
 このように、各社創意工夫し技術進化が行われてきていますが、正直なところ採算ベースになっているのか、安全面では問題ないのか等、一歩間違えれば劣悪な作業環境を容認することになりかねず、きれいごとでは済まされません。一般的な工事の管理は、安全・品質・工程がそろって管理されてこそ発注者、受注者が報われます。本特集では、「小(省)面積の推進技術や施工」と題し狭隘な部分も含め推進工事の実状と繊細な一面等を紹介いたします。
(編集担当:舩橋 透)

 

巻頭言 機は熟した、推進技術で世界に飛び出そう
山崎 晶
㈱熊谷組常務執行役員国際本部長
(公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 水道「料金」と下水道「使用料」
下水道老異端児
総 論 小規模化施工のすすめと留意点
金田 則夫
(公社)日本推進技術協会研究部長
解 説 小立坑と施工ヤードの省スペース化による地域環境負荷の低減
高田 泰光
(地共)日本下水道事業団近畿総合事務所兵庫事務所所長
中垣内 高広
前田建設工業㈱広畑シールド作業所副所長
安田 大樹
ヤスダエンジニアリング㈱工事係長
アルティミット工法における小(省)面積への対応
須藤 洋
機動建設工業㈱土木本部技術課課長
狭隘空間でのコマンド工法による中口径管推進工事
葛谷 大輔
地建興業㈱関東支店事業統括本部
小面積(施工ヤード)施工における課題と施工事例
森田 智
㈱アルファシビルエンジニアリング技術部部長
貞永 桂子
㈱アルファシビルエンジニアリング技術部課長代理
小型の立坑における分割発進と小面積を克服する設備配置と既設シールドトンネル直接到達
桜井 良一
㈱福田組土木部技術企画部次長(シールド・推進担当)
随 筆 北陸新幹線の山越え
山梨 太郎
日特建設㈱技術開発本部知財・戦略部
ゆうぞうさんの山紀行 第91回 越後駒ヶ岳
藤代 裕三

-小型立坑・省面積