基礎知識 鋼製さや管方式

2024年6月号 鋼製管推進工法の基礎知識

 今月号の特集は、「鋼製管推進工法」です。「鋼製管推進工法」は、(公社)日本推進技術協会では、「鋼製さや管推進工法」と「取付管推進工法」に分類されています。「鋼製さや管推進工法」は、鋼管をさや管として本管を敷設する工法であり、掘進機等に鋼管を接続して全ての推進力を鋼管に伝達し掘進敷設します。掘進機の掘進方式により圧入式、オーガ式、泥水式およびボーリング式(一重ケーシング方式・二重ケーシング方式)に細分類されます。「取付管推進工法」は、地上または地上付近から鋼製管をさや管として本管まで掘進し硬質塩化ビニル管等を取付管として本管に接続します。鋼管の掘進方式は、圧入式とボーリング式の二種類です。
 鋼製管推進工法は、鋼製管を溶接等によって一本化した長尺管での施工であり、長距離・曲線施工に不向きですが、玉石や転石が出現する地盤や、杭等の支障物を切削除去するなどの施工条件で多く採用されています。また、掘削ヘッドの引き戻し交換し再発進が可能であり、他の工法がトラブルにより推進不能になった場合などのレスキュー工法としても採用されています。
 最近では都市部における鉄道や道路等の立体交差工事、地中内でのトンネル拡幅、トンネル間の連結工事、軌道や高速道路の盛土補強、港湾の岸壁の耐震補強、地すべり対策工事の抑制工として集排水敷設工、さらには、都市部での液状化対策工のひとつとして地下水位を低下させるための排水管の敷設等にも用いられ、多様な用途で採用され、ますますの活躍が期待されています。
 本特集では、工法の特長や基本的な機構、今後取り組むべき技術的課題などの採用ついて事例とともにご紹介します。本特集が今後の計画や設計のご参考になれば幸いです。
(編集担当:椿 秀明)

 

巻頭言 子どもたちに見せたい土木のものづくり
木井 敦夫
五洋建設㈱土木部門土木営業本部第二営業部長 (公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 自動運転とAI
肝試し
総 論 ~多用途で活躍~ 鋼製さや管推進工法
川合 孝
前(公社)日本推進技術協会技術部長
解 説 多様な条件に対応できる「インパクトモール工法」
前川 英昭
インパクトモール協会 前川推進建設㈱
鋼管推進で多種多様な目的をクリアするオーケーモール工法
持地 英実
多田建設㈱常務取締役
推進鋼管内を行き来できる夢の工法! パイプリターン工法の概要と施工事例
下本 徹
パイプリターン工法協会事務局長
ベビーモール工法による地中障害物への対応事例
奥山 剛宜
グルンド興機㈱営業部次長
鋼製さや管推進工法 SH、SHミニ工法の工法概要と施工事例
篠木 拓哉
SHスーパー工法協会技術員
アンクルモールパイプルーフ工法が対応するパイプルーフ工法への設計の基本
橋本 健二
㈱イセキ開発工機工事部
ST集排水工法の概要と滝坂地すべり地における施工事例
紅谷 亮
㈱興和工事部次長
関根 克宏
㈱興和首都圏営業開発本部課長
随 筆 話題のインフラツアーに参加14 ~荒川放水路と岩淵水門 (荒川水系)~
山口 雅永
長野油機㈱製造部資材課
ゆうぞうさんの山紀行 第100回 アマギツツジの観賞
藤代 裕三
元横浜市下水道局

 

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