気象庁によりますと、気候変動の影響により自然災害が頻発化・激甚化しているそうです。1951年(昭和26)からの統計史上初めて宮城県へ台風8号が2021年(令和3)7月28日に上陸いたしました。2019年(令和元)には令和元年房総半島台風(9月)、令和元年東日本台風(10月)により甚大な被害が発生したことは記憶に新しい事例です。台風等、集中豪雨をもたらす要因としては次々と発生する雨雲(積乱雲)がバックビルディング現象による線状降水帯が一因です。2021年(令和3)から気象庁は「顕著な大雨に関する気象状況」として速報することになりましたが、予測することは「現時点では」困難だそうです。
これに対応するために国土交通省は流域治水関連法 2021年(令和3)5月10日を公布しました。4本の柱のなかで、特に下水道に関連するのは、「官民による雨水貯留浸透対策の強化」を図る。「大きな浸透係数を有する土地において雨水浸透施設の整備:緑地」を促進する。また、氾濫をできるだけ防ぐための対策として下水道では「浸水被害を防ぐべき目標降雨を計画に位置付け、整備」を加速する。
要するに、事前防災の考えに基づいた計画的な下水道整備を図ることが要求されます。加えて2021年(令和3)には流域治水プロジェクト概要(国土交通省)が公表されました。現在の整備水準では、気候変動による激甚化・頻発化する水災害に対応できないため、気候変動による降水量の増加などを考慮する必要があります。気候変動シナリオ(2℃上昇相当)によると降水量約1.1倍、流量約1.2倍、洪水発生頻度約2倍になることが想定されます。
このような状況に対して下水道事業としての対応としては、
・雨水浸透施設(浸透ます、各戸貯留・浸透等)の整備
・雨水貯留施設の整備
・既設管の連結
・大規模地下貯留施設の整備
が挙げられます。これにより流域治水の一翼を担い被害の軽減・早期復旧に役立つと考えます。
これらの整備において推進工法の活躍する場としては、ピークカットのための雨水貯留管の整備、線状降水帯のよう長時間降雨や大規模豪雨に対しては既設管間の連結管やバイバス管の整備による貯留・流下能力の向上が有効な手法となりますので紹介いたします。
(編集担当:石北正道)
巻頭言 | 多様かつ高度な社会的要請への対応と持続的成長 戸田建設(株)執行役員土木技術統轄部副統轄部長 (公社)日本推進技術協会理事 請川 誠 |
今月の推論 | いつも真実がわかるのは遅すぎるタイミングで 時来りて語る者 |
総 論 | 流域治水関連法を核とした下水道による浸水対策の展開 国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐 橋本 翼 国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付計画係長 奥村 誓悟 |
管路施設による浸水対策の設計事例と留意点 (株)日水コン下水道事業部西部計画管路部技術第二課課長 宮崎 裕 |
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解 説 | 小山市における排水強化対策について 小山市上下水道施設課計画係係長 黒須 直樹 |
気候変動の影響を踏まえた浸水被害軽減対策について 千葉市建設局下水道建設部雨水対策課 林 茂樹 |
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市川市における浸水対策事業 市川市水と緑の部河川・下水道建設課主事 横井 孝明 |
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三浦市の浸水対策 三浦市上下水道部下水道担当部長 山上 訓広 |
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浜松市の流域治水への取り組み 浜松市上下水道部下水道工事課専門監 久保田 茂夫 |
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瑞穂市の浸水対策の取組み 瑞穂市環境水道部下水道課長 工藤 浩昭 |
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岡山市下水道河川局における浸水対策について 岡山市下水道河川局下水道経営部下水道河川計画課・課長補佐 宮川 智喜 |
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広島市の浸水対策 ~一体的なハード・ソフト対策~ 広島市下水道局施設部計画調整課課長 石倉 寿也 |
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熊本市下水道事業における浸水対策 熊本市上下水道局計画整備部計画調整課・課長 藤本 仁 |
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浸水被害対策に適した推進管・考慮すべき事項について ㈱クリコン技術営業部 平尾 慎也 |
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雨水貯留管に適した推進管 藤村クレスト㈱技術開発本部技術営業部 吉本 勝彦 |
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随 筆 | 話題のインフラツアーに参加 5 〜東日本大震災の伝承施設〜 長野油機㈱製造部資材課 山口 雅永 |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第73回 早春の三浦アルプス森戸川から乳頭山へ 元横浜市下水道局 藤代 裕三 |