気象庁によりますと地球温暖化により極端現象(日最高気温が35℃以上の日(猛暑日)、1時間降水量が50mm以上の強い雨)が増加傾向に、極端現象の頻度は近年の30年間で1.4倍に増加しているそうです。また、雨の降り方が局所化、集中化、激甚化する傾向です。
最近の水害としては、2019年(令和元年)令和元年房総半島台風により千葉県において、風により千葉県、茨城県、福島県に甚大な被害をもたらした。千曲川の氾濫、阿武隈川の氾濫もありました。2020年(令和2年)7月豪雨には球磨川が氾濫し尊い人命が失われました。このように近年大水害が頻発しています。
氾濫には、堤防や護岸を超える場合や、破堤に起因する外水氾濫と、それ以外の要因により低平地で溢水・灌水・氾濫する内水氾濫に区分されます。国土交通省の水害統計によると令和元年度は被害総額2兆1800億円でそのうち3割が内水氾濫に起因しています。
内水氾濫には排水施設の能力不足や河道水位の上昇により排水能力が低下することによる浸水、あるいは外水が(破堤や越堤以外の理由で)氾濫域に流入する浸水があります。
内水氾濫対策としては、総流出量削減を主眼としては透水係数の大きな砂地盤等においては雨水浸透施設を整備する、降雨のピーク流出量削減し河川などの負荷を抑制する貯留池、貯留管の整備などが挙げられます。
貯留管の整備手法としては推進工法、シールド工法が採用される事例が多いです。
本稿においては、大中口径の貯留管に適した推進工法の採用事例および貯留管への越流方法(落差工)等を特集し、内水氾濫の軽減に向けた対策について紹介したいと思います。
(編集担当:石北正道)
巻頭言 | 技術継承に大切だと感じていること 地建興業㈱代表取締役社長 (公社)日本推進技術協会監事 宮地 秀将 |
今月の推論 | 下水道インフラは、都市の安全・危機情報をキャッチする情報インフラ ─WBE(下水疫学 Wastewater Based Epidemiology)がいよいよ実装段階に─ 北極星 |
総 論 | 気候変動を踏まえた下水道による都市浸水対策の推進について 国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐 長谷川 広樹 |
特 集 | 札幌市における内水氾濫軽減の取組 札幌市下水道河川局事業推進部下水道計画課技術職員 二上 雄斗 |
仙台市の内水氾濫軽減の取り組みと施工上の課題 仙台市建設局下水道事業部管路建設課工事第三係主任 中村 衆栄 |
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郡山市の内水による浸水被害軽減の取り組み 郡山市上下水道局下水道整備課 佐久間 満 郡山市上下水道局下水道整備課 山口 謙一 |
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住宅密集地における75mm/hr対応施設の整備 ~蛇崩川増強幹線工事~ 東京都下水道局第二基幹施設再構築事務所設計課課長代理 上出 祥司 東京都下水道局第二基幹施設再構築事務所設計課主任 伊藤 菜穂子 |
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横浜市の浸水対策(下水道管路整備) 横浜市環境創造局下水道管路部管路整備課長 黒羽根 能生 |
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名古屋市の浸水対策 〜雨水調整池供用開始後の流入管工事の一例〜 名古屋市上下水道局技術本部建設部工務課課長 河合 克敏 |
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下水道によるまちの強靭化 ~和歌山市の内水氾濫軽減の取り組み~ 和歌山市企業局下水道部下水道建設課技術主査 三宅 宏祐 |
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推進工法を活用した福岡市の浸水対策 福岡市道路下水道局建設部西部下水道課職員 植原 恒次 |
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農業用水路を兼用した雨水幹線への取水施設の設計事例 オリジナル設計㈱関西支店大阪技術課 柴田 章 |
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投 稿 | アルティミット工法での岩盤層から帯水砂層への対応 機動建設工業㈱関東支店工事課課長 泉 恵介 |
随 筆 | 漂泊を求めて ~自転車による東海道「線」の旅~ 日特建設㈱事業本部 石黒 梓 |
黒瀬賞 | 令和3年度(第32回)黒瀬賞 |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第65回 百名山最難関の平ヶ岳 藤代 裕三 |
俳句会便り | 第七十六回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り |