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2019年6月号 進化し続ける推進技術

 国内初の推進工法の採用は、(公社)日本推進技術協会のwebサイトによりますと、およそ70年前の「昭和23年(1948)の大阪ガス発注における旧国鉄・尼崎港線の軌道下横断工事(ガス管用さや管、呼び径600、鋳鉄管延長6m)の30tf手押しシップジャッキ1台使用」と記載されています。
 刃口式推進工法を原点とした推進技術はその後飛躍的に進化し、泥水式、土圧式(泥土圧式)、泥濃式などの掘進機とともに中押や元押装置、あるいは工法を支える様々な推進管材の開発と性能の向上、また、測量技術や滑材・推進力伝達材(クッション材)をはじめとする周辺技術など、多方面の技術的な開発・改良が行われました。その結果として、世界に誇れる今日の長距離・曲線施工や呼び径4000の大断面推進、1スパンが約1,500mの超長距離・曲線推進を可能とし、信頼性の高い推進技術を成し遂げています。
 小口径管推進分野では、昭和50年(1975)、労働省(当時)通達によって内径80cm未満の推進工法では管内の有人作業が制限されました。呼び径800未満の小口径管推進工法は、これを契機として掘削・排土などに省力化が図られ、その実績を飛躍的に伸ばし、その後、塩化ビニル管を推進する低耐荷力管推進工法も導入され、長距離・曲線施工においても実績を挙げています。このほか、小口径管推進分野では、ケーシング立坑など小型化に向けた技術開発も進んでいます。
 本特集では、世界最高の技術レベルとされている我が国の超大口径管、大中口径管、小口径管推進工法等の最新技術とあわせて、これを可能とした管材や測量技術などの各分野の技変遷とともに最新の技術をわかりやすく紹介し、また、矩形断面推進のほか、改築推進技術や特殊な推進工法事例なども掲載しています。
(編集担当:阿部勝男)

巻頭言 改元 平成から令和へ
中川ヒューム管工業(株)代表取締役社長(公社)日本推進技術協会理事
中川 喜久治
今月の推論 「令和」時代スタート、「日本」と「下水道インフラ」の未来は ─「生産性の向上」が「鍵」─
北極星
総 論 進化し続ける推進技術
機動建設工業(株)代表取締役社長((公社)日本推進技術協会会長・本誌編集参与)
中野 正明
解 説 大中口径管推進工法の技術進化
機動建設工業(株)関東支店長(本誌編集委員)
舩橋  透
進化し続ける推進技術(小口径管推進工法 高耐荷力管推進工法)
(株)エイト日本技術開発東京支社副支店長兼統括技術部長(本誌編集委員)
田口 由明
小口径推進工法(低耐荷力管推進工法)の歩みと現状~今後の展望
地建興業(株)工務課長
大石 真樹
鋼製管推進工法における最新技術
(株)熊谷組首都圏支店顧問(本誌編集副委員長)
阿部 勝男
粘土、砂、礫、岩盤層が混在する複合地盤における推進技術の進展について
(株)イセキ開発工機建機事業本部副本部長兼建機営業部長(本誌編集委員)
佐藤  徹
伸び悩む改築推進増大する老朽化施設の救世主となるためには
アイレック技建(株)非開削推進事業本部営業部部長
武村  秀
超大口径管推進工法の躍進
(株)奥村組東日本支社土木技術部技術2課長
木下 茂樹
推進管の進化の歴史と最新技術
中川ヒューム管工業(株)常務執行役員技術営業部長兼品質保証部長(本誌編集委員)
人見  隆
酸にも塩にも強い自己防御型ヒューム管スリーAパイプ
ゼニス羽田(株)顧問(本誌編集参与)
塩見 昌紀
近年の推進用立坑事情
(株)カナコン技術顧問(本誌編集委員)
石北 正道
測量における最新技術 ~進化し続ける推進技術への取組み~
(株)ソーキ特別顧問(本誌編集参与)
稲葉 富男
難工事を支える注入工(滑材、添加材、裏込め材)
((公社)日本推進技術協会調査部長
竹内 俊博
推進工事に伴う補助工法について
(前)日特建設(株)
小野 千代昭
随 筆 アゲハ蝶の不思議
ラサ工業(株)機械事業部東京営業所
岸  景子
ニュースFlash
ゆうぞうさんの山紀行 第40回 真言密教の聖地 大峰山、大台ケ原
藤代 裕三

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