働き方改革関連法案は2019年4月1日より施行されましたが企業規模や業種により猶予期間が設けられました。そして本年4月1日からはすべての制度の本格的運用が開始されました。ここで働き方改革とは「働く人びとが個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、『自分』で選択できるようにする」ための改革とされています。つまり我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「働く人びとのニーズの多様化」などの課題に直面しています。こうした中、生産性向上とともに就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが必要となっており、働き方改革を必要としています。
建設業は労働集約型産業であり、しかも労働環境が3K(きつい、汚い、危険)と厳しいため若者をはじめ多くの人々の進出を妨げています。このため深刻な人手不足となっており、しかも高齢者の比率が高く若者の比率が低くなっています。また一品受注生産で現地屋外生産のため常に施工場所が変わり、その作業現場状況や天候に影響されます。そのため休日出勤や残業で補うことになります。このような特徴があるため建設業は労働生産性も低いものとなっています。さらに建設業は発注者・元請・専業者・作業員といった重層構造となっており、それぞれの意識の違いから働き方改革への考え方にも違いがあることがわかっています。このように建設業にとって働き方改革実現には多岐にわたる問題を解決する必要があります。しかし現場で働く人々が活き活きと活躍し、将来の担い手を確保するためにも、建設業の就労環境を着実に向上させることが不可欠であり、そのため働き方改革が必須となります。
この働き方改革を行うことは、これまで慣習としてきた働き方を抜本的に変換するもので小手先の対応では成しえないものだと考えます。それには今までの仕組みを変える労働環境の改革が必要となります。それには受注者だけでなく発注者を含めた業界全体で取り組まなくては本当の改革はできないと考えます。働き方改革を行うには、「共に解決に取り組む仲間」という意識が重要になります。本特集号では働き方改革の概要をおさらいするとともに、推進業界における働き方改革への取り組み状況や問題点を率直に示していただきました。また座談会では忌憚のない意見を交わし「共に解決に取り組む仲間」という意識の共有ができたのではないかと考えます。
(編集担当:稲葉富男)
巻頭言 | 震災における建設業の役割 平光 伸明 大豊建設㈱ 東京土木支店土木営業部部長 (公社)日本推進技術協会理事 |
今月の推論 | 下水道の接続率を上げよう! 智恵須 納人 |
総 論 | 建設業における時間外労働の上限規制について 本安 貴登 厚生労働省労働基準局労働条件政策課特別対策係長 |
建設業の働き方改革に関する取り組み 国土交通省不動産・建設経済局建設業課 |
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推進工事の働き方改革(2024年問題に向けて) 舩橋 透 (公社)日本推進技術協会技術担当部長 |
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解 説 | 民間事業者の働き方改革とJS工事の魅力向上を推進する取り組み 中島 良幸 (地共)日本下水道事業団事業統括部調査役(土木・建築) |
働き方改革を目指した取組 清水 優 東京都下水道局計画調整部技術開発課技術管理担当 |
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横浜市における働き方改革の取組 磯田 伸吾 横浜市下水道河川局総務部技術監理課長 |
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働き方の基盤を変革するプロジェクト 新田 勝紀 ㈱奥村組業務改革推進プロジェクト土木チームプロジェクトマネージャー |
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未来ある建設業を目指すサン・シールド 櫻井 勇希 サン・シールド㈱DX推進室・主任 森島 俊輝 サン・シールド㈱DX推進室 米森 清祥 サン・シールド㈱代表取締役 |
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ヤスダエンジニアリングの働き方改革への歩み 大川 哲夫 ヤスダエンジニアリング㈱建設事業本部工事部次長 |
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杭のICT施工管理システム(パイルヴィムシス)の導入 中西 孝 日本ヒューム㈱本社 工事本部 |
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座談会 | 働き方改革 横田 敏宏 (公社)日本推進技術協会専務理事 毛利 光夫 東京都下水道局計画調整部技術管理担当課長 磯田 伸吾 横浜市下水道河川局総務部技術監理課長 中島 良幸 (地共)日本下水道事業団事業統括部調査役(土木・建築) 中嶋 光祥 三井住友建設㈱常務執行役員土木本部副本部長 加取 新 鉄建建設㈱土木本部機電部担当部長 木村 智 機動建設工業㈱執行役員管理本部長 児玉 理史 ベルテクス㈱生産本部副本部長 |
随 筆 | サウナで「ととのう」 柴倉 裕司 五洋建設㈱土木部門土木本部土木技術部 |
トピックス | 下水道展’24東京 取材レポート |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第103回 栗駒山 湯浜から須川へ |