推進工法は、これまで様々な周辺技術に支えられながら進展してまいりました。推進延長については、最近は過去にはあまり例が無かった200mを超えるような小口径管推進や、500mを超える大中口径管推進がごく普通に施工されております。長距離推進になれば曲線施工を伴うケースも増えると想像できますが、曲線推進に対する対応の幅も大きく向上しています。このように長距離曲線推進が一般的に施工されるようになった背景には、推進工法に用いられる滑材や管材の性能向上、さらには計測技術などの周辺技術の発達が支えています。また、長距離推進では地層の変化や障害物など、事前調査では把握しきれない問題が生じる確率も高まります。そのような想定外のトラブルに対しても、掘進機内からのビット交換や前方探査など新たな技術が開発され、想定外のトラブルに対してもリスクを低減が図られるようになってまいりました。
今後注目されるのはAIを活用した推進管理です。推進中の掘進データが蓄積されれば推進力に基づいた掘進スピードと排土量の制御が自動的に可能になると考えられますし、測量データを連続的に解析することで掘進機の方向制御についても自動的に行えます。その結果、掘進精度が向上し、掘削スピードと排土量が適正に管理され、より安全で精度の高い推進施工が可能になると考えられます。
本特集では、推進工事を支えている最新の周辺技術に加え、将来の自動・無人化施工を目指したAIを活用した推進施工に関わる取組みをご紹介させていただきます。
(編集担当:人見隆)
巻頭言 | 次世代を担う若者へつなぐ言葉 向井 達典 りんかい日産建設㈱取締役常務執行役員事業統括本部土木本部長 (公社)日本推進技術協会理事 |
今月の推論 | 無意識を意識する 肝試し |
総 論 | 推進工法を支える周辺技術 竹内 俊博 (公社)日本推進技術協会 調査部長 |
解 説 | 長距離・急曲線推進におけるさらなるテールボイドの安定 豊田 敏広 ㈲日本マテリアル 営業部長 |
推進工法のICT 化に向けて (ICT 自動測量システムへ期待するもの) 稲葉 富男 ICT 推進工法研究会 技術積算部長 |
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DX・IoT 技術の応用による推進施工の問題や課題の克服 米森 清祥 アースナビ推進工法協会会長(サン・シールド㈱代表取締役) 田村晋治郎 アースナビ推進工法協会技術委員長(㈱ジェイアール総研情報システム計測システムプロジェクト担当部長) |
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位置計測するためのレーザ機器 錢谷 優亮 タマヤ計測システム㈱営業2部 |
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アルティミット工法を支える周辺技術 ─アルティミット滑材注入システム(ULIS)とセンプラカーブシミュレーション(CPS)─ 須藤 洋 アルティミット工法協会 |
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電磁波利用による、掘進機機内から障害物の検知と掘進機の誘導の方法 濱田 十郎 ミリングモール協会 技術委員 |
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産業廃棄物、CO2、騒音、振動を削減し現場環境を改善するプレキャスト支圧壁「バックロック工法」 木村 伸尚 バックロック工法研究会(秩父コンクリート工業㈱営業部) |
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地下埋設物探査装置「エスパー」を使用した埋設物探査について 滝田 秀一 エスパー探査協会会員 |
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─掘進機内からのビット交換・障害物撤去を可能にした─CMT長距離・曲線推進工法 長濱 正治 久本組・松尾組共同企業体 現場代理人 森本 正敬 ㈱姫野組 関西支店 作業所長 木下 貴義 CMT工法協会 技術担当 |
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随 筆 | 世界の中心で現実の厳しさを知る 川名由希也 三井住友建設㈱ 土木本部土木営業管理部兼SX営業推進部 |
話題のインフラツアーに参加11 ~神田川・環状七号線地下調節池 続編~ 山口 雅永 長野油機㈱ 製造部資材課 |
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ゆうぞうさんの山紀行 | 第94回 宮ヶ瀬はまだ晩秋の趣 藤代 裕三 |
年間総目次 | 2023年 Vol.36(令和5年1月号〜12月号) |