基礎知識 鋼製さや管方式

2018年11月号 鋼製管推進工法の基礎知識

 鋼製管推進工法は、これまで呼び径800未満を施工する小口径管推進工法の「鋼製さや管推進工法」として分類されていました。しかし、比較的大きな径の鋼製管推進や取付管推進の実績も増えていることから、(公社)日本推進技術協会では5年ほど前に、呼び径1800の大中口径を包括する『鋼製管推進工法』と位置づけ、小口径管推進工法とは袂を分かちました。
 鋼製管を推進する技術は古い歴史を持ち、山岳トンネルの先受けや水平探査ボーリングとして、また、都市土木ではパイプルーフに用いられてきました。
 鋼製管推進工法は、大中口径管推進工法や小口径管推進工法と異なり、鋼製の外管(さや管)を溶接等によって一本化した、いわば長尺の鋼管杭を推進するため、長距離推進や曲線施工には不向きとされています。
 しかし、推進管本体が鋼製であり、先端に装着したビットによって岩盤や転石、玉石の卓越する地盤、さらには支障となる杭や鋼矢板等の切削も可能なことから、推進工法分野においては最も過酷な施工条件下で採用されています。
 また、方向制御にやや難点があるものの、他の工法がトラブルに遭遇し、掘進不能状態に陥った場合の「レスキュー工法」としても用いられています。
 このほか、鋼製管推進工法は鋼製の外管を存置し、塩化ビニル等の内管を挿入した二重構造の特性により「河川管理施設等構造令」規定を充足することから、河川の横断をはじめとし、軌道下の推進工事などにも採用されています。また、完全非開削技術としての取付管推進工法にも使用されていることが、同工法の大きな特徴です。
 長距離・曲線施工などのトレンドとは縁遠く、やや華々しさには欠けている鋼製管推進工法ですが、前記のとおり転石・玉石の出現する地盤の施工、また、残置された鋼矢板等の支障物を切削・除去が可能なことなど、他の推進工法が不得意とする施工条件にも対応できることから、推進工法分野においては不可欠な工法とされています。
 本特集では鋼製管推進工法の基礎知識として、過酷な地盤や施工条件に挑み、また、施工途中で予期しえない支障物等に遭遇し、これを克服した施工事例の紹介とともに、あわせて、同工法を採用するにあたっての計画・設計・積算上の留意点と課題なども記載されています。
 発注者には、標準的な歩掛りでは対処できない同工法について、本特集を通して、鋼製管推進工法がこれまで果たしてきた役割と使命をご理解いただきたいと願っています。また、鋼製管推進工事に携わる専業者には、他社の開発技術の状況や他分野の技術にも触れていただき、自社技術の新たな踏み出し、前進の一助となれば幸甚と存じます。
(編集担当:阿部勝男)

巻頭言 東北に生きるこれからの課題
多田建設(株)代表取締役社長
(公社)日本推進技術協会監事
多田 恵造
今月の推論 組織と不正
時来りて語る者
総 論 鋼製管推進工法の概要
(公社)日本推進技術協会審査部長
千田  尚
特 集 鋼管推進の草分け的な存在インパクトモール工法
インパクトモール協会技術部会長
前川 英昭
鋼製さや管推進工法の完成形「グルンドラム工法」
(株)ライフライン
佐々木 政幸
鋼管推進で多種多様な目的をクリアする ~オーケーモール工法~
オーケーモール協会
持地 英実
既設管への取付や障害物の撤去を長距離推進にて施工可能に! ~パイプリターン工法~
パイプリターン工法協会事務局長
秦  勝則
用途が拡がるロックマン工法
グルンド興機(株)(山形営業所)
中川  順
ロックマン工法協会(八千代エンジニヤリング(株))
秋山 大一
礫玉石・帯水層に威力を発揮するパイプ削進工法
パイプ削進協会技術部
中谷 真二
多様なニーズに対応し進化したクラウン工法とストライク支管による高い耐震性を確保したストライク工法
PIT&DRM協会事務局長
栗山 康晴
過酷な要求に堪えうるのが特技 ~ベビーモール工法~
東京油機工業(株)代表取締役社長
重盛 知勇
なくては困る小口径管推進工事最後の砦 ─SH工法・SHミニ工法?
SHスーパー工法協会技術員
篠木 拓哉
下水道施設の最上流部での推進工 ~コンパクトモール工法~
コンパクトモール工法研究会事務局
渡辺  大
理論と技術と実績が証明 ~ベビーモール特殊取付管特許工法~
東京油機工業(株)代表取締役社長
重盛 知勇
ベビーモール協会会長((有)ラテラルテック代表取締役)
神山  秀
随 筆 くだけた話
ベビーモール協会事務局
重盛 俊樹
ゆうぞうさんの山紀行 第33回 豊後富士・由布岳
藤代 裕三
俳句会便り 第六十五回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り

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