下水道展 総合 他

2018年7月号 推進技術・最前線

 毎年開催される下水道展に合わせて本誌も「推進技術・最前線」を特集テーマとして企画しています。本年も7月に北九州市にて下水道展が開催されます。
 下水道は、上水道、ガス、電気、通信等と同様に、私たちが生活する上で必要不可欠なライフラインとして活用されています。昭和30年代日本は、高度経済成長期を迎え工業化が急速に進み、都市部の人口も急増したことによって、工業排水や生活排水が増大し公共水域の汚染問題が深刻化しました。この様な背景もあり、昭和45年下水道法の改正時、公共水域の水質保全に係る一項が加えられたことで、下水道における事業制度が整い下水道整備が急速に進みました。また下水道事業の推進に伴い、路面を掘削する開削工法から、工事中の振動、騒音等の低減および道路交通や地下構造物への影響が低減でき、都市環境対策に優れた推進工法が多く採用され、以後、推進工法は急速な技術の進歩を遂げ、現在においては、施工技術および工法の開発・改良に伴い長距離推進、急曲線における施工能力の向上による高度な技術を用いた施工が行われています。
 推進工法が世界で初めて用いられた工事は19世紀後半、アメリカの北太平洋鉄道横断工事です。国内においては昭和23年、国鉄尼崎港線軌道下工事にて、国内初となる推進工法を用いた工事が行われました。当初は人力掘削が主体である刃口式推進による施工で行われていました。しかし、人力主体による刃口式推進は、推進延長が長くなることによる掘削進捗の低下、また切羽部が開放されているため、切羽崩落による人的災害の危険性も懸念されていました。この様な課題を克服するために開発された工法が泥水式推進工法です。以降、さらなる技術開発が進み、土圧式推進工法、泥濃式推進工法が開発され、現在この3工法を主流とした推進工事が行われています。また、小口径管推進工法においては昭和50年、呼び径800未満の管内作業が禁止されましたが、2年後の昭和52年には小口径管推進工法の圧入式が開発されました。この様に、様々な課題に直面しつつも、ただちに技術開発を行い、短期間で課題を克服できる日本の推進技術は、現在においても世界の最高水準を誇る日本の推進技術ならではの「技」であると感じます。
 本号では、最新の推進技術を特集として紹介しています。各企業においては、より優れた推進技術の開発に日々取り組んでいることと思います。これらの技術が最前線で推進工事に携わる技術者の方々の一助となれば幸いです。
(編集担当:植木貴幸)

巻頭言 「下水道展'18北九州」の開催にあたり
北九州市上下水道局長
有田 仁志
今月の推論 天網恢恢疎にして漏らさず
巌上松
総 論 下水道で育った推進技術の今後
(公社)日本推進技術協会技術部長
川合  孝
特 集 これを見れば推進のトレンドがわかる
2時間で全てまわれる!! 推進技術見学ルートマップ
下水道展'18北九州 出展予告と展示の見どころ
随 筆 学生時代に学んだ大切なこと
青木あすなろ建設(株)東京土木本店営業第一部
樺澤 弘之
投 稿 海底推進施工における課題と対策
若築建設(株)九州支店豊前作業所所長
石田 達也
(株)東京久栄エンジニアリング部プラント技術室
高橋 雅史
機動建設工業(株)九州支店係長
藤田 啓司
耐震性に優れた管路を提供するCMTリターンシステム
(株)砂原組尾長下水作業所現場代理人
河野  智
(株)イミプラン設計部長
森島 健晴
CMT工法協会技術担当
原田 正靖
ニュースFlash
ゆうぞうさんの山紀行 第29回 コマクサに覆われた岩手山
藤代 裕三
黒瀬賞 平成30年度(第29回)黒瀬賞

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