今月の特集は先月に続き「既設構造物間における推進施工技術」の「直接発進と直接到達」です。都市部の地下空間には、上下水道、ガス、電気、通信等のライフラインが縦横に敷設され、さらには鉄道、道路、共同溝といった極めて重要な構造物が多く建設されています。そのうえで成り立っている社会・経済活動に大きな影響を与えることなく維持しながら、過去に建設された建築物・構造物等を新陳代謝し、さらに新しい防災施設やライフラインの建設を進めることが求められています。
推進工法においては、立坑を必要としない既設構造物からの発進・既設構造物への到達を要望され技術開発が行われてきました。掘進機の小型化や分割化によってマンホールからの発進、到達においては掘進機の回収に必要なスペースを小さくする方法だけでなく発進側に戻してしまう、さらにはそれを人的作業でなく自動で行う等の目を見張る進展を遂げています。しかしながら、既設構造物での施工は、発進・到達部を開口するために発生する構造物欠損に対する補強や地盤の安定確保、構造物への推進反力の取り方等、決められた仕様の汎用的な立坑での施工とは異なり、様々な条件下での施工となります。
先月から続く本特集では、たくさんの施工事例を紹介し、それぞれの現場条件での施工における工夫等を共有できたらと考えています。平成29年(2017)にも「既設構造物への直接到達」として2か月連続の特集を組みました。「既設構造物間における推進施工技術」は需要が高まっているというよりも、当たり前のモノになっています。
本特集が、皆さまの業務の一助となれば幸いです。
(編集担当:森治郎)
巻頭言 | はげしい気象 (株)奥村組取締役常務執行役員土木本部長 (公社)日本推進技術協会副会長 小寺 健司 |
今月の推論 | 下水道事業 管理運営時代に向けた枠組み再構築への提言 下水道老異端児 |
総 論 | 密閉型推進工法の活用技術 (株)アルファシビルエンジニアリング取締役施工副本部長(技術士、RCCM) 松元 文彦 |
特 集 | ・厳しい条件下における台湾での海底推進 機動建設工業(株)国際事業部長兼台灣機動建設工程股_有限公司總経理 刈谷 光男 |
・シールドトンネルUターン路における推進工法の活用 南野建設(株) 山田 賢二 ユニコーンES工法研究会事務局長 沖 俊昭 |
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・電力送電事業における中口径の推進工法の適用事例と今後の展望 東京電力パワーグリッド(株)工務部 吉本 正浩 |
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・推進技術を活用した道路と宅地の一体的な液状化対策エリアドレーン工法 機動建設工業(株)土木本部 小森 恭司 アースドレーン工法協会理事 高橋 弘昌 |
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随 筆 | 地下神殿 長野油機(株)製造部資材課 山口 雅永 |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第44回 会津駒ケ岳登山 藤代 裕三 |
2019年度 推進工事技士試験 試験問題(一次・二次) |