推力低減・長距離 曲線

2024年8月号 長距離・曲線推進

 長距離・曲線推進は、交通への影響や管路構築上の障害などを回避することができる社会的影響が少ない工法としての実績も多く、特に立坑を構築することが困難な場合などにおいて適用されています。
 令和の時代に入り、長距離・曲線推進がごく当たり前に施工されるようになった背景には、地山に対応する掘進機、管材の高強度化および継手性能の向上、曲線推進への対応、周面摩擦抵抗の低減、測量技術などの進展によるものと思います。
 一方で、過度に立坑を省略して長距離化することも、リスクばかりが増大してトラブルになる確率も高くなるため、施工延長や線形を決める際には様々な角度からの検討が必要になると考えられています。このような状況の中、令和の時代の長距離・曲線施工は、施工上のリスクに対する妥当性を十分に確認した上で、施工のオートメーション化や安全性を含めた作業環境の改善を図るなど、少しずつ変化しているようです。
 また、推進延長が長くなればなるほど、特に中口径管の有人作業はスペースが限られ、安全面や作業性も低下します。昨今、内径800mmは、あまりに狭隘な作業環境であり危険回避も大きく懸念されることから、坑内作業が可能な口径区分見直しの議論も高まっております。
 本特集では、「令和の長距離・曲線推進施工」として、設計における線形決定の経緯(妥当性)、より進化した掘進測量や摩擦低減などの周辺技術、また、無人化や施工オペレーションを改善して安全面が大きく改善した事例等を紹介させていただきます。今後も難度の高い推進工法による管路構築が続くものと思われますので、今日における長距離・曲線推進の考え方として参考にしていただければ幸いです。
(編集担当:人見 隆)

 

巻頭言 昨日の非常識は…
佐野 晃之
アイレック技建㈱代表取締役社長 (公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 物流新幹線に推進工法
全発連会長
総 論 安全・安心が優先の長距離・曲線推進
舩橋 透
(公社)日本推進技術協会技術担当部長
解 説 アルティミット工法の長距離推進と曲線推進を支える技術
小森 恭司
アルティミット工法協会大阪事務局技術担当 (機動建設工業㈱土木本部・次長)
CMT工法による長距離推進への取組み
木下 貴義
CMT工法協会技術担当
超流バランスセミシールド工法における長距離施工の実態と対策
森田 智
㈱アルファシビルエンジニアリング技術部部長
令和の若手技術者による長距離・曲線施工ラムサス-S工法
米森 清祥
ラムサス工法協会事務局長 (サン・シールド㈱代表取締役)
中橋 尚也
サン・シールド㈱工事部
難条件の小口径長距離曲線推進に応える「ベル工法」
苗田 徳照
ベル・ミクロ工法協会事務局長
長距離・曲線推進施工を支えるICT自動測量システム
稲葉 富男
ICT推進工法研究会技術積算部会長
長距離・曲線推進技術を支える推進管について
平尾 慎也
㈱クリコン技術営業部部長
合成鋼管の適用範囲拡大とボックス曲線推進施工への対応
竹森 敬介
日本ヒューム㈱関東・東北支社技術工事部長
随 筆 くだけた話
重盛 俊樹
ベビーモール協会事務局長
ゆうぞうさんの山紀行 第102回 北アルプス常念岳から燕岳へ
俳句会頼り 第八十八回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り

 

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