近年、少子化によってどの業界も人手不足に頭を悩ませています。特に、建設業に関しては他の業種に比べて週休二日制が浸透していないことや、依然として3K職場の印象が根強く、若者離れの著しい業種と指摘されています。国や建設業界においては、一丸となって働き方改革を進め、魅力アップに努めているところですが、これまでのところ担い手不足の抜本的な解消に至っていません。
担い手の不足問題は、勢い培われた技術継承の阻害となるため、国や自治体、設計コンサルタント、建設業界等においては積極的にリクルート活動を行っています。
最近では、各企業とも学生向けの企業合同説明会への参加やインターンシップを導入し、早期の人材確保に努めています。また、OJTや集合研修などによる啓発活動を行い、「技術力の向上」とともに、作業環境の改善や「魅力ある職場環境」の創出に心掛け、離職率の低下施策にも取り組んでいます。推進工法業界に関しても「トンネル推進工」が特定技能に指定されるなど、環境づくりが進んでいます。技術・技能の伝承は、まさに人材の確保と育成がキーとなります。
本特集では、国や自治体、設計コンサルタント、ゼネコン、推進専業者など、それぞれの立場で、技術の伝承を如何にして効率よく行うかについての取り組みを紹介しています。我が国は先進諸国の中で最も早く、かつ、急速に少子高齢化を迎えつつあります。したがって手本のない、手探りの状態で少子高齢化に向かっての技術の継承を試みているものと思います。本特集で紹介する各企業の採っている事例や方策は、いずれは少子化や高齢化に追随する諸外国のみならず、我が国建設企業のお手本になればと考えています。
(編集担当:阿部勝男)
巻頭言 | マネジメント時代の「哲学」 (公社)日本下水道協会理事長 岡久 宏史 |
今月の推論 | 実務で知った特許改革の必要性 時来りて語る者 |
総 論 | 最近の建設業における担い手確保の取組について 国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課 |
横浜下水道の技術継承 横浜市環境創造局下水道計画調整部長 竹内 徹也 |
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熊本市上下水道局における「人材育成」への取り組みについて 熊本市上下水道局計画整備部下水道整備課課長 猪口 浩二 |
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技術継承の条件 (株)東京設計事務所技術相談室長岡技術科学大学客員教授 藤田 昌一 |
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特 集 | 水コン協における災害時支援者育成の取り組みについて (公社)全国上下水道コンサルタント協会災害時支援者育成小委員会委員長((株)日水コン) 山本 整 (公社)全国上下水道コンサルタント協会災害時支援者育成小委員会委員((株)日水コン) 福島 真一 |
技術の伝承(人財の確保と育成) (株)熊谷組土木事業本部土木部部長 岸本 俊司 |
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未来へ向けた人材確保と育成について未来型建設企業を目指すサン・シールド サン・シールド(株)代表取締役 米森 清祥 |
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人材確保と育成 ~ワイドPLUSと魅力ある職場づくり~ 大栄建設(株)代表取締役 里 圭介 |
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人がいる会社が生き残る 地建興業(株)管理本部総務課 杉原 清 |
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ヤスダエンジニアリングの人財確保・育成について ヤスダエンジニアリング(株)取締役経営企画本部長 安田 昇 ヤスダエンジニアリング(株)専務取締役 安田 一成 |
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随 筆 | 博物館へ行こう ~旅客航空機編~ 長野油機(株)製造部資材課 山口 雅永 |
投 稿 | ・推進工法を用いたパイプルーフ施工における地中構造物の隣接施工に関する種々の考察 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門准教 笹岡 孝司 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門助教 濱中 晃弘 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門 前原 一稀 |
・障害物除去推進工事の施工事例の紹介 名古屋市上下水道局技術本部管路部南部管路センター主幹 平野 芳茂 |
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ゆうぞうさんの山紀行 | 第48回 冬の三浦アルプス 藤代 裕三 |