発進・到達

2019年8月号 直接発進と直接到達 その1

都市周辺では、地下鉄、地下道、地下室、ライフライン等が重層構造のように輻輳しており、現在もそれらのさらに深い位置や合間を縫うように地下施設が築造されている。そして、立坑すら構築するスペースがなくなったことから既設構造物間での推進施工が要望され「既設構造物への到達・既設構造物からの発進」の推進技術が発展してきた。
 当初の既設構造物の施工は、大中口径では通常の掘進機を既設構造物に到達させ、その掘進機を単純にその位置で切断解体する地中残置が行われていた。掘進機の再使用はできない方法であった。徐々に既設構造物施工の需要が増えるにしたがって、小口径においては、掘進機を分割できる構造とすることで、マンホールでの発進到達が可能となり、大中口径においては施工した管路内を通して、掘進機を回収するなどの手段が開発され、施工性・経済性は向上した。
 現在では、既設管路から枝分かれする管路を築造できる既設管路間での施工や到達構造物の地点で作業できない環境においても人的作業を行わずに回収できる掘進機も存在する。それらの技術は、ライフライン敷設のためだけではなく、地下道路構築などの新たな用途へと進展している。
 また、既設構造物での施工には、発進・到達部を開口するために発生する構造物欠損に対する既設構造物の補強や構造物への推進反力の取り方、既設構造物内での資材の搬入搬出などなど多くの技術課題が存在していたが、昨今の「既設構造物間の推進施工技術」は、多数の施工実績、経験からそれらの課題をも克服する技術、工夫が生み出されてきた。しかし、それでも、既設構造物間における推進は、決められた仕様の汎用的な立坑などと異なり、多種多様な施工条件下での施工が求められることから、課題は尽きない状況であると考える。
 本特集では「既設構造物間における推進施工技術」のための、最新の掘進機などの機材設備を掲載するとともに、施工上における工夫も事例と一緒にご紹介いただくことで、さらなる本技術の進展の参考になればと考える。
(編集担当:佐藤徹)

巻頭言 未来へ命をつなぐ
地建興業(株)代表取締役社長(公社)日本推進技術協会理事
宮地 秀将
今月の推論 マンホール → メンテナンスホール?
全日本発注者団体連合協議会副会長
総 論 既設構造物からの発進および到達への計画・設計上の留意点
(株)エイト日本技術開発執行役員中部支社長(本誌編集委員)
田口 由明
特 集 シールド坑内から発進した推進施工事例
不動テトラ・徳倉・東海特別共同企業体ほのか作業所監理技術者
植手 照博
機動建設工業(株)名古屋支店工事課
小森 大輔
超流バランスセミシールド工法における既設構造物への直接接合技術について
(株)アルファシビルエンジニアリング施工本部技術部技術部長
森田  智
耐震性に優れた管路を提供するCMTリターンシステム
CMT工法協会
木下 貴義
シールド工法の特性を活かしたデュアルシールド工法 ─長期間停止後の再発進と既設構造物への到達─
(株)福田組東京本店土木部技術部推進・シールド担当部長
小野塚 良明
ミリングモール工法でシールド切削到達地上から地盤改良できない場所でのT字接合
ヤスダエンジニアリング(株)本社建設事業本部
岡田 昌彦
ヤスダエンジニアリング(株)本社建設事業本部
米崎 智一
ヤスダエンジニアリング(株)本社建設事業本部
前田 久則
随 筆 ゼネコンマンへの道「ピンチの後にチャンスあり」建設業は今こそ変われる
(株)福田組新潟本店土木部工事部
蓑和田 隆志
ニュースFlash
ゆうぞうさんの山紀行 第42回 奥深い荒川三山
藤代 裕三

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