下水道以外の事例 推進工事技士 推進工法の役割

2023年11月号 地下パイプライン整備に活躍する推進工法

 日本の推進工法は、昭和23年(1948)にガス管のさや管として内径600mmの鋳鉄管を軌道下の横断のために手掘り式で施工したのが始まりです。その後、昭和40年頃までは刃口式推進工法で電話ケーブル、水道およびガス管等のさや管として主要道路や軌道、用水路等の横断工事に採用する特殊な工法でした。この刃口式推進工法は、切羽が全面開放されており「地盤の自立」が必要条件で、崩壊性地盤や地下水を含む地盤では、切羽安定のため補助工法を必要としました。この問題を解決するために昭和40年過ぎから密閉型推進工法の泥水式推進工法、続いて土圧式推進工法、さらに泥濃式推進工法が開発されました。そして現在では長距離施工や複数の曲線区間を含む急曲線施工が可能となり、超大口径管の施工も行われています。
 昭和40年頃から日本の高度成長に伴い下水道整備の主役として、密閉型推進工法が脚光を浴び、推進工法は下水道構築に大きく寄与いたしました。しかし地下パイプラインは下水道だけでなく、水道、ガス、電力、通信等があります。これらの構築にも推進工法の特徴、つまり施工設備がコンパクトで小回りが利くということから一役かっています。下水道は基本的に自然流下のために縦断勾配に制約があります。その他のライフラインの平面線形、縦断線形は自由度が大きく、縦断曲線や急勾配施工も許容されます。
 本特集号では地下パイプライン整備に活躍する推進工法を紹介いたします。それらの構造物はその使用目的に応じた最適な平面・縦断線形、管種や管径で計画されます。また推進工事が目的構造物ではなく、その本来の配管を施工するためのさや管であったりします。このような多様な使用目的のためにはそれのための計画や施工方法があり施工管理も工夫されています。ここではその構造物の特徴や注意点、下水道との違いにも言及したいと考えます。
(編集担当:稲葉富男)

 

巻頭言 デジタル技術を活用した変革(DX)の波を起こそう
請川  誠
戸田建設㈱ 常務執行役員土木技術統轄部統轄部長
(公社)日本推進技術協会理事
今月の推論 映画「道」:3層構造の物語
時来りて語る者
総 論 さまざまな地下インフラ整備に活躍する推進工法
森  治郎
(一社)日本非開削技術協会 技術委員会委員長
解 説 送電インフラ整備で活用した推進工法の線形や施工技術事例
吉本 正浩
東京電力パワーグリッド㈱ 工務部管路・土木技術担当
電力ケーブルの敷設に活用した推進工法
鍵政 真一
関西電力送配電㈱ 電力システム技術センター地中送電グループ
瀧本  守
栗原工業㈱ 工務本部工務部地中線・土木グループ課長
松浦 和利
㈱ハンシン建設 土木事業本部推進工事グループ主任
水道事業における耐震化に取り組むハイブリッドシステム(HyW)工法
末松 康成
ハイブリッドシステム(HyW)工法協会 事務局長
正木 義人
ハイブリッドシステム(HyW)工法協会
檜皮 安弘
ハイブリッドシステム(HyW)工法協会
水道配水本管敷設工事における推進工法の活用
畠  雄吾
札幌市水道局 給水部工事課長
インフラ整備にエースモール工法の技術を活用!
根本 亜矢子
アイレック技建㈱ 非開削推進事業本部営業部
長距離、互層地盤、小土被りにおける農業用施設の排水バイパス管工事での適用事例
白井 信浩
㈱鴻池組 山田排水路改修工事現場代理人
大井 彰久
㈱森岡組 山田排水路改修工事工事長
福嶋  渉
㈱鴻池組n土木事業総轄本部土木技術部
随 筆 成長へのチャンス
中川  司
鉄建建設㈱ JV瑞穂シールド作業所現場代理人
ゆうぞうさんの山紀行 第93回 初冬の甲武信ヶ岳
藤代 裕三

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