岩盤・巨石の推進工事は、推進工法進展の象徴のひとつであり、この施工困難な地山に対しては、各工法の保有する技術が網羅されています。日本の地層は、岩盤地山が同一種類で均一な岩盤条件だけではなく、堆積岩の中に泥岩、砂岩が激しく褶曲しながら混在する、崖錐が掘削断面にかかるなどの状況も多くあり、単に高強度、高硬度の岩石を掘削するだけの技術では、岩盤推進工事ができないことからだと考えます。
岩盤推進の変遷は、大口径では切羽開放型の刃口式推進工法で行うのが主流で、ロードヘッダが装備された刃口型の掘進機での推進、時によってはずい道と同じように発破などを用いて岩盤破砕を行いながらの施工が行われ、その後、徐々に密閉型の中口径岩盤掘進機が開発製造されました。現在では小口径においても優れた掘進機や関連技術・施工方法があり、その施工例も多数報告されています。近年では雨水対策のための管路敷設工事が発注され、大口径呼び径2000以上の岩盤推進施工が再び多くなっています。そして、かつての岩盤対応推進施工方法よりさらに進展した掘進機や周辺技術が適用されていると推察します。
本特集では、各工法の岩盤推進の施工事例から、その岩盤推進工法の最先端技術を紹介いただきます。岩盤施工においてはトラブルの発生も多くあると考えます。そこで、岩盤施工でのトラブル発生とその解決方法の知見についても、記述していただければ、今後の推進工事の製品開発、推進工事施工の参考となると考えます。
(編集担当:佐藤 徹)
巻頭言 | 新しい時代へ (株)常磐ボーリング会長(公社)日本推進技術協会理事 瀬谷 陽一 |
今月の推論 | 民営化対策に新組織 全日本発注者団体連合協議会副会長 |
総 論 | 岩盤・巨礫層における掘削メカニズムおよび技術的課題 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門准教授 笹岡 孝司 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門教授 島田 英樹 九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門助教 濱中 晃弘 |
岩盤・巨礫推進の基本的な考え方 前(株)推研代表取締役会長 蒲田 洋 |
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解 説 | 岩盤掘進に挑むCMT工法の特徴と施工事例 東田中・丸三建設工事共同企業体現場代理人 小関 純 アルティミット工法協会 北島 邦浩 |
推進技術の取り組みと将来展望 CMT工法協会会長 田中 基紀 CMT工法協会広報部長 岡村 道夫 |
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岩盤掘削に対応するユニコーン型掘進機の開発展開 ラサ工業(株)機械事業部 池田 昌司 |
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近接工区のトラブルを踏まえた岩盤でのラムサス工法施工事例 ラムサス工法協会事務局技術部課長 森 勇二 ラムサス工法協会事務局技術部課長 斎藤 俊二 |
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随 筆 | 入社への経緯と故郷の紹介 りんかい日産建設(株)土木事業部営業第二部 澤田 美代子 |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第36回 寄のろう梅 藤代 裕三 |