低耐荷力 基礎知識

2018年9月号 低耐荷力管推進工法の基礎知識

「下水道、くらしを支え、未来を拓く下水道展’18北九州」をテーマに、今年は福岡県北九州市の西日本総合展示場で下水道展が開催されました。多くの企業・団体が出展し、また来場者数も盛況の中で無事に閉幕されました。
 今回開催された九州地方ですが、平成28(2016)年4月には熊本地震が発生し、震度7を観測する大きな地震であったことは皆様の記憶に鮮明に残っていると思います。発生より2年半近くを迎え、甚大な被害を受けた施設も徐々に災害復旧事業により、その姿を取り戻しつつありますが、未だ災害復旧の進捗が進んでいない場所もあるかと思われます。暮らしの中でのインフラ整備がいかに大切であるかを多くの方に関心を持ってもらい、安心と安全の両立した復興事業の一端を担えればと思います。
 今回の特集は「低耐荷力管推進工法の基礎知識」であり、同じ小口径管推進工法の高耐荷力管推進工法と異なる部分を記述したいと思います。
 低耐荷力管推進工法の最大の特徴ですが、先導体にかかる先端抵抗力を推進力伝達ロッド(ケーシング、スクリュ等)に負荷させ、推進工法用管には管と土との周面抵抗力のみを負担させる方式であり、最近では管と土との周面抵抗力を分割させて推進力伝達ロッドに負荷させる工法もあります。推進力の伝達方式による違いにより分類されているので、低耐荷力管(硬質塩化ビニル管)以外にも高耐荷力管(ヒューム管、レジンコンクリート管など)や鋼管なども推進が可能となっている点も特徴であるといえます(高耐荷力管推進工法では低耐荷力管の推進は不可能です)。
 日本では、硬質塩化ビニル管は昭和26(1951)年頃から製造され、昭和32(1957)年に下水道管に使用され始めました。昭和49(1974)年には開削用途の「下水道用硬質塩化ビニル管(JSWAS K-1)」制定され、下水道面整備の主要管材として使用されてきました。その後、硬質塩化ビニル管を推進工法で敷設する技術として低耐荷力管推進工法の様々な工法が開発され、平成7(1995)年「下水道推進工法用硬質塩化ビニル管(JSWAS K-6)」制定されました。
 硬質塩化ビニル管は前述のとおり開削用途から始まり、推進工法による敷設のニーズに応え下水道推進工法用硬質塩化ビニル管が誕生しました。下水道工事に関わらず、硬質塩化ビニル管を採用する工事は比較的深度の浅い箇所に用いられることが多く、安易に設計施工単価が安価であるためと思われます。しかし、施工現場の現状を確認すると、複数の埋設管により計画土留めが設置できず、やむを得ず危険な作業環境での施工が数多く見受けられます。その結果、開削工事現場における現場作業員の土砂崩壊災害や土止め倒壊災害による死亡事故が発生しています。推進工法は現場条件に応じて対応が可能な工法であり、難工事に挑むことも可能です。安全第一で確実な施工ができる工事へ少しでもお役に立てればと思います。
(編集担当:宮地武士)

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今月の推論 降雨の経路の自分ゴト化 ~地域の流域が見えていますか?~
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(公社)日本推進技術協会調査部長
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特 集 エンビライナー工法による低耐荷力管推進工法の施工技術
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シンプルでコンパクト、豊富な実績・経験を持つ ~スピーダー工法~
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独自の技術で未来を切り開くユニコーンDH-ES工法
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確かな技術と実績  ~アンクルモールV工法~
(株)イセキ開発工機建機事業本部
山中 志俊
塩化ビニル管を用いた長距離曲線推進「ベル工法」
ベル工法協会事務局
苗田 徳照
随 筆 土木屋人生“まだまだ”進行中
五洋建設(株)土木営業本部土木プロジェクト部
中田 宏美
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先達に学ぶ温故知新 第9回 推進工法とともに歩んだ40年 その6「泥水式カーブ推進工事」
元(株)日本下水道管渠推進技術協会常務理事
石橋 信利
ゆうぞうさんの山紀行 第31回 初秋の甲斐駒ケ岳
藤代 裕三

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