長距離推進施工は、本誌でも多くの施工事例が報告され、数年おきに特集として取り扱われているテーマです。
大中口径管推進工法では1スパン1,500mを可能とし、シールド工法とのボーダレスになっており最近の浸水対策としての雨水管建設等に活躍しています。また、小口径管においても同様に、高耐荷力管推進工法では300m、低耐荷力管推進工法においても100mを超える施工実績があります。
これらの長距離推進は、掘進機(先導体)の開発や軸方向耐荷力が大きく曲線に対応可能な推進管の開発、推進力低減措置としての滑材と注入方式や曲線施工における位置計測技術の改良・開発があり、それらを総合的に組み合わせ施工技術として実現しています。
推進工法において長距離を施工できることは大きな魅力ではありますが、その反面、地層の変化のほかに事前調査では把握できない事項も多く介在し、リスクを背負うことになります。また、大中口径管推進工法ではいまだ狭い管内空間での常態的な作業が発生することや、小口径管推進工法では300mを超えるスパンでは管内点検等にも課題を抱えています。
本特集では、長距離化に向けて掘進機(先導体)や管材をはじめ各分野における最新の取り組み状況だけでなく、推進力低減方法や位置計測技術等の様々な工夫、計画・設計時の留意点等について幅広く言及していただいています。さらに、これまでに施工された1スパンの推進距離の年推移や最近の推進距離に関する動向を設計および施工サイドから述べていただき「長距離推進のゆくえ」を探ろうとしています。
本特集が皆さまの業務の一助となれば幸いです。
(編集担当:森治郎)
巻頭言 | コロナ禍後について考える りんかい日産建設(株)執行役員(土木営業担当)(公社)日本推進技術協会理事 佐藤 幹男 |
今月の推論 | 「下水道が集めたもの」と「下水道に集まったもの」 知恵須 納人 |
総 論 | 長距離推進における設計施工の留意点 ~管周面抵抗力の「バラツキ」を考える~ (公社)日本推進技術協会技術部長 川合 孝 |
特 集 | 小口径管推進における長距離推進の事例 ~工夫次第で施工は可能となる~ オリジナル設計(株)関東支店茨城事務所 小森 潤一 |
坑内作業の省力化と無人化による高品質な長距離推進技術 ─アルティミット工法─ アルティミット工法協会 小森 恭司 |
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複合推進工法による大深度(大土被り)・硬質地盤での小口径トンネルの長距離施工 (株)鴻池組現場代理人兼監理技術者 弦本 優司 (株)紙谷工務店 奥谷 秀史 (株)姫野組 森本 正敬 |
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長距離推進の現状とこれからの課題 超流セミシールド協会会長 (株)アルファシビルエンジニアリング技術部部長) 森田 智 |
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挑戦し続ける長距離・曲線推進エースモールDL工法 アイレック技建(株)非開削推進事業本部営業部部長 武村 秀 |
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小口径の長距離推進を実現する施工管理と経験値 泥土圧式サクセスモールω工法 ジオリード協会会長 脇田 清司 |
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塩化ビニル管による長距離曲線推進「ベル工法」 ベル・ミクロ工法協会事務局長 苗田 徳照 |
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推進用ヒューム管の「数字・ファクト・ロジック」 ゼニス羽田(株)顧問(本誌編集参与) 塩見 昌紀 |
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液体なのに逸失しない!小口径管推進専用「新型こんにゃく充填剤100」 (株)ジオックス技術営業部 今井 一裕 (株)ジオックス技術営業部 大久保 勝 |
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長距離推進用滑材の特長と摩擦抵抗試験結果 (株)立花マテリアル東京支店営業二課s 古澤 伸幸 |
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随 筆 | 剣道から学んだこと 青木あすなろ建設(株)東京土木本店営業第一部 高原 幸一郎 |
投 稿 | 掘進機に装備された特殊ビットによる地中支障物の直接切削 市川市浸水対策事業 市川市市川南11号幹線建設工事 (株)熊谷組首都圏支店市川推進作業所作業所長 内藤 雅人 |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第55回 乗鞍岳 藤代 裕三 |