推進工法はインフラ整備とともに発達し、初期の手掘りの刃口式推進工法から現在の機械式密閉型推進工法へと発展してきました。それらは泥水式、土圧式、泥濃式に分類されます。また、この間の技術革新は目覚ましく、適用土質は普通土から礫混り土そして岩盤までの広範囲に渡っています。1,000mを超える施工延長も可能にし、急曲線施工を含んだ複数曲線への対応、そして縦断曲線といった非常に複雑な線形の施工も可能にしています。さらに、断面形状は円形だけでなく矩形までにも対応しています。これらを可能にしたものは掘進機の開発や制御機器の発達、掘進技術の向上、注入材の改良や注入技術の自動化、推進工法用管の開発、測量の自動化等様々な技術革新により達成してきました。
このように進化した推進工法ですが、次なる目標は「自動化施工」であると考えます。完全自動化施工を行うにはもう少し時間を要しますが、これを達成するためには課題を明確にして一つひとつ解決していく必要があります。それには現状の推進施工技術に対し「自動化施工を行うには何が必要かまた技術の連携をどのようにするのが良いか」を見つめなおすことで先が見えてくると思います。近年、少子高齢化による労働人口の減少や熟練技術者の減少もあり、それに加え、多様な働き方を選択できる社会の実現により、より良い将来展望が持てることを目指した働き方改革を進めるためにも「自動化施工」は避けては通れないテーマです。
以上の観点から、本特集号では、掘進データを収集し体系的に整理して自動化への基礎構築技術、遠隔地から掘進の情報を監視できる技術や掘進管理制御等々、さらに様々なICT技術を駆使した安全管理や品質管理技術を紹介します。(編集担当:稲葉富男)
巻頭言 | 会長就任にあたって 中谷 泰之 (公社)日本推進技術協会会長 ㈱奥村組 取締役常務執行役員土木本部長 |
今月の推論 | インフラ点検でのAI 活用 肝試し |
総 論 | i-Construction 2 . 0 の概要 森下 博之 国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション) |
自動化のめざすところ 舩橋 透 (公社)日本推進技術協会 技術部長 |
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解 説 | XR を用いた生産性向上と技術承継 米森 清祥 サン・シールド㈱ 代表取締役 |
ベル工法の自走式計測ロボットによる自動化測量技術 高橋 博之 ベル・ミクロ工法協会 技術委員 (㈱ベストエンジニアリング) |
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自動測量技術の開発と進展(推進自動測量システムに求められるもの) 稲葉 富男 ICT 推進工法研究会 技術積算部会長 |
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ラムサス工法先導体自動制御実現に向けた戦略と現状 田村晋治郎 ㈱ジェイアール総研情報システム 計測システムプロジェクトプロジェクトマネージャー 米森 清祥 サン・シールド㈱ 代表取締役 森島 俊輝 サン・シールド㈱ DX 推進室 |
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滑材注入の自動化 ─アルティミット滑材注入システム(ULIS)─ 矢萩 元彦 機動建設工業㈱ 土木本部推進統括部部長 |
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随 筆 | 話題のインフラツアーに参加17 ~銀幕に描かれたインフラ~ 山口 雅永 三井住友建設㈱ 土木本部土木設計部 土木設計グループ |
ゆうぞうさんの山紀行 | 第112回 本栖湖に映る千円札の逆さ富士と中ノ倉山 藤代 裕三 元横浜市下水道局 |