環境

2025年8月号 環境への配慮

 今月の特集は、「環境への配慮」です。推進工事は、地上から地盤を掘削し管路を敷設する開削工法に比べ、道路交通や沿道商業などに与える影響が少ないので、環境にやさしい工法であるといえます。しかしながら、掘削や管敷設のほとんどが道路下の地下で作業されることから、土壌や住居などの周辺施設に対する配慮も必要であると考えられます。近年、地球温暖化に起因する気候変動に伴い、生活環境への配慮や自然環境の保全に対する声は年々高まってきており、建設現場で排出されるCO2についてもあらゆる場面で削減が求められています。
 推進工事は、立坑を構築して推進する際には多くの建設資材と下水道資器材を使い、適応した施工方法を選定して施工します。当然、地山を掘削推進して施工することから建設発生土が生じます。また、施工現場においては、騒音や振動など周辺住民への生活環境にも影響を及ぼしかねません。そして、推進施工には多くの建設機材や下水道資器材を活用しますので、建設機械や使用材料の省CO2対策も重要です。現在、国土交通省地方整備局では従来の普通コンクリートに対してエネルギー起源二酸化炭素排出を50%以上削減した低炭素型コンクリートの使用が指定されるケースが増え、(公社)日本下水道協会でもコンクリート系管路資器材にエコ製品が追加されております。
 本特集号では、推進工事のあらゆる場面において、環境保全対策や騒音、振動、掘進残土などの対策を講じたものや、環境負荷低減につながる建設材料、燃料やエネルギーの活用やリサイクル技術や施工事例を紹介いたします。今後の低炭素および循環型社会の実現に向けた推進技術の取組みとして参考にしていただければ幸いです。(編集担当:人見隆)

巻頭言 日本を「推進」する技術の協会として
新谷 康之
(公社)日本推進技術協会 常務理事
今月の推論 立つ鳥跡を濁さず
全発連会長
総 論 インフラの整備とメンテナンスにおける環境配慮
森田 弘昭
日本大学 生産工学部土木工学科教授
((一社)日本非開削技術協会会長)
労働環境の改善「建設業の働き方改革に関する取り組み」
国土交通省 不動産・建設経済局建設業課
解 説 低炭素型コンクリートEeTAFCONの特長と製造システム、推進管への適応
人見  隆
EeTAFCON 研究会
産廃削減と難地盤曲線施工を可能とするサクセスモールω工法
原辺 泰秀
ジオリード協会 事務局長
工事現場の環境対策の提案
坂﨑 秀郎
㈱ワキタ 西日本建機レンタル統括部
ICTソリューション部課長
外崎  誠
㈱ワキタ 大阪中央支店
推進工事における防音対策
遠藤  聡
防音設備協会(大丸防音㈱本社技術部)
泥水式推進工法の泥水処理装置とその防音・防振対策
浦矢 英雄
サンエー工業㈱ 代表取締役
建設発生土改良事業の取り組み
金森 禎文
㈱テルナイト 土木環境営業部長代理
随 筆 話題のインフラツアーに参加19~明石海峡大橋~
山口 雅永
長野油機㈱ 製造部資材課
ゆうぞうさんの山紀行 第114回 黒部源流の散策
藤代 裕三 元横浜市下水道局

 

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