土被り

2019年3月号 小土被りと近接施工

 我が国の都市は、流通・交通の要衝、山地と平地の接点等にあり、氾濫原などの低平地に人やモノが集積し拡張、発展しているところが多く見られます。また、都市の地盤は、地勢の変遷から基盤が変化に富み、表層は複雑な堆積層により形成され、さらに都市の発展に伴い造成、埋め立て等の人工改変地も増大してきました。
 このような都市では、土地の有効利用、活動の利便性向上等のため、地下空間の利用が進み、後発の施設ほど複雑に設置され、また、重要構造物も混在し輻輳している状況にありますが、今後、これらのインフラは、老朽化の進行に伴い改築更新の需要が高まることは必至です。また、都心部に限らず郊外でも、上下水道、ガス等のパイプラインに加え、都市防災の観点から電気や電話等のケーブルの地下埋設化等が進んでおり、近い将来に同様な状況が迫っています。
設置当時には開削工事(明かり)で確認できた状況も、改築時にはそれも難しい状況となっています。しかし、既存の施設(ネットワーク)機能を活用しつつ、維持管理のしやすい施設の改築を順次行うためには、連絡施設であるパイプラインを安易に「避けて(下げて)通す」だけではない、発想と工夫による取り組みが必要ではないでしょうか。
そこで、本号では、今後、技術の発展が大きく期待される次の事項について着目し、特集記事を募ることとしました。
  ・現在の状況をより正確に把握し、共有するための調査技術
  ・既定のルールに囚われず、より早期に効果を得るための計画技術
  ・厳しい制約条件に安全に対応するための施工技術
 改築施設の検討にあたっては、既存の埋設物、占有物との競合を前提とする必要があり、新設構造物の使用や施工に伴う影響度合いを地上・地下ともに適切に評価し、新たに加わる施設の占用位置の設定、施工法の選定等を行い、さらには、施工時・施工後の安全・安心の確保も必要となります。
 ここでは、特に縦断線形の制約、既存基幹施設の深度制約、施工に伴う影響制約等が厳しい状況下での円形管、ボックスカルバートの施工事例を中心に取り上げました。なお、近接施工時の影響軽減策には地盤改良、パイプルーフ等が想定されます。
(編集担当:田口由明)

巻頭言 推進技術者よ! アジアの新興国を目指せ!
鉄建建設(株)専務執行役員(公社)日本推進技術協会理事
菊地  眞
今月の推論 水道法改正報道ナナメ読み
今月の酸い論
総 論 「小土被りと近接施工」掘進による影響評価
(公社)日本推進技術協会技術部長
川合  孝
解 説 小土被り施工の事例
ジオリード協会会長(株)ウイングス代表取締役
脇田 清司
東名高速道路直下における函体推進(SFT工法)工事 ~日本の大動脈となる高速道路直下へ現場打ち4連函体推進をSFT工法にて施工~
(株)竹中土木名古屋支店東名静岡東SIC作業所監理技術者
井本  優
(株)竹中土木名古屋支店東名静岡東SIC作業所現場代理人
今村 哲也
(株)竹中土木名古屋支店工事部技術・設計グループ
柿澤 雅樹
円形・矩形における小土被り施工実績例
(株)アルファシビルエンジニアリング技術部部長
森田  智
(株)アルファシビルエンジニアリング技術部技術主任
池田 裕治
長距離施工を目指した小断面非開削トンネル工法の開発 ~COMPASS工法TYPE-4~
鉄建建設(株)土木本部地下・基礎技術部
矢島  岳
小土被り条件下でのパイプルーフ工を併用したボックスカルバート刃口式推進施工
(株)福田組土木部工事所長
坪田 雅秀
(株)福田組技術企画部参与(シールド・推進担当)
石塚 千司
浅層・小土被り条件下での薬液注入工法における施工管理上の留意点と新技術
日特建設(株)技術本部
竹内 仁哉
随 筆 これから……?
日特建設(株)技術本部調査役(本誌編集委員)
小野 千代昭
ゆうぞうさんの山紀行 第37回 日和田山から物見山へ
藤代 裕三

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