環境

2020年4月号 脱炭素化に向けて

 SDGsが社会全体に広がり、主流化しつつある中で、政府のアクションプランは「SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり」を掲げています。建設業界は、インフラをはじめとするハード面に加えて、地方創生に関わるまちづくりや地域振興にも関りが大きい産業であります。管路をはじめとしたインフラ整備、交通や防災、エネルギーや観光といった人々の暮らしにも関わっていることからその影響も大きく、SDGsを牽引していかなければならない立場に置かれています。
 昨年9月に開催された国連気候行動サミットにおいて、65の国々が2050年までに「温室効果ガス排出ゼロ」を宣言し、世界各国は脱炭素化のスピードを競い主導権争いにしのぎを削っています。そして、昨年末にはCOP25が開催され、経済産業大臣と環境大臣が「化石燃料を主とした火力発電依存から脱却できない」現状をさらした発言によって化石賞という不名誉な賞を受賞し、世界から遅れをとっていることを示す結果となってしまいました。
 日本政府はこのサミット前には「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(令和元年6月11日閣議決定)を示しており、その中で最終到達点として「脱炭素型社会」の実現を掲げています。
 推進技術を取り巻く建設業ならびに建設資機材製造業等においては、SDGsが掲げる「誰も取り残さない」持続可能な社会とその仕組みを構築するために、脱炭素化を目指すあらたな方針を示し行動を起こす必要に迫られています。
 建設業や製造業などでは、これまで主に化石燃料に大きな動力源を求め大量の温室効果ガスを排出してきました。これからは再生可能エネルギーによる動力源に切り替える努力が必要であり、社会の仕組みも変えていかなくてはなりません。また、CO2を吸収する技術や低炭素型のコンクリートなどの取り組みもみられるようになり、土木建設技術を利用してCO2の発生量を縮減するだけではなく、吸収したり、固定化するなど次世代の技術も散見されるようになりました。
 各社が少しずつ脱炭素に向け取り組むことによって大きな流れをつくり脱炭素型社会の実現に近づくのではないかと考えます。いずれ公共工事の発注要件に、温室効果ガスの排出量や再生可能エネルギーの使用、脱炭素システムなどの採用などが明記されるようになることは容易に想像することができます。
 本特集では、推進技術を取り巻く企業(団体)の脱炭素化に向けた取り組みを紹介することによって、脱炭素型社会の実現に向けたロードマップづくりの障害となっている課題や克服すべき事項を見出し、建設業界が担うべき役割を皆様と共有していきたいと思います。
(編集担当:人見隆)

 

 

巻頭言 令和二年度のスタートにあたって
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課長
松原  誠
今月の推論 これからの下水道は3Rが合言葉だ!
知恵須 納人
総 論 東京都が目指す2050年の姿 世界の「CO2排出実質ゼロ」に貢献 ~ゼロエミッション東京戦略~
東京都環境局総務部環境政策課
持続可能な社会に向けた脱炭素化への挑戦
横浜市温暖化対策統括本部副本部長
奥野 修平
地下管きょ工事によるCO2排出量の算出について
(一社)日本非開削技術協会ソーシャルコスト検討委員会
宮武 昌志
特 集 CO2吸収コンクリートによる脱炭素化の取り組み
東洋大学理工学部都市環境デザイン学科
横関 康祐
鹿島建設(株)技術研究所土木材料グループ
取違  剛
CO2低排出型コンクリートの実用化への取り組み
中川ヒューム管工業(株)常務執行役員技術営業部長兼品質保証部長(本誌編集委員)
人見  隆
アイレック技建の環境保全の取り組みについて
アイレック技建(株)非開削推進事業本部営業部長(本誌編集委員)
森  治郎
温室効果ガス排出量低減への貢献推進工法用薬材
機動建設工業(株)機動技研所長
森長 英二
随 筆 コザクラインコと過ごす癒しの時
アイレック技建(株)西日本営業本部九州支店
赤司 尚隆
ゆうぞうさんの山紀行 第50回 多摩森林科学園の花見
藤代 裕三
俳句会便り 第七十一回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り

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