安全管理 老朽化

2019年11月号 下水道管路マネジメントシステムの実現に向けて

 下水道をはじめとする我が国の地下インフラは、建設当時想定されていた耐久年数をはるかに超えて、老朽化が懸念されるものが多くあります。建設当時から老朽化の問題は認識されていたとは思いますが、地上部の道路や建物の密集、他の近接埋設物の輻輳などの環境変化で「改築」が進んでいるとはいいがたい状況にあります。建設当時は開削による管路埋設が主流でしたが、現状では管更生で対応できる程度であればまだしも、更新(管路の敷設替え)を行わなければならない箇所については深刻な問題になっています。毎年管路の老朽化などに起因する陥没事故が全国で数千件発生しており、待ったなしの状況下にあります。
 また、管路の漏水や損傷原因の中で最も多くを占める幹線管きょへの取付管の直接取付けの問題が近年大きくクローズアップされており、この問題の根本的な解決としてのマンホールへの取付け(横引き方式)への変更、および拠点マンホールへの改築などを含む管路マネジメントシステムの確立を考えるとき、改築技術の重要性が再認識されてきています。
 それに対して我々推進技術にかかわるものとしては非開削による改築更新を提案して普及させなければなりませんが、現状は技術を開発提案すべき我々の力不足、発注者、設計者側の理解不足のどちらかあるいは両方で、非開削による改築更新は広く普及とまでは至っていません。普及を妨げる具体的な理由としては工事費の高止まり、道路占用の期間、近接構造物の損傷懸念、小型マンホールからの施工不可などがあると思われますが、いずれも今までの推進技術の進化発展の歴史を振り返れば、克服できない課題ではないと考えます。
 改築更新すべき老朽管の管材料を見てみるならば、ヒューム管が圧倒的に多いと思われますが、特に古い管路では陶管、比較的新しい管路では塩化ビニル管もその対象と考えなければなりません。塩化ビニル管の場合はまだ耐久年数までは至ってはいませんが、その埋設状態(外荷重の載荷状況)によっては変形(たわみ)が多く発生して、不明水の原因のひとつになっています。また、改築管路に拡径が要求される場合は必ず改築更新が必要ですし、新設管路を増補管として新たに埋設する場合においても既設管路を撤去充填しなければならないようなケースもあります。
 このように開発すべき課題は多くありますが、今月号では改築推進をテーマとして、その必要性、管更生工法との住み分け、工法の分類(切削、引抜、圧砕など)比較などを各分野の方々に解説していただくことといたしました。
(文:中野正明 編集担当:石北正道)

巻頭言 男女混合で「金メダル」獲得
大豊建設(株)東京土木支店土木営業部長
(公社)日本推進技術協会理事
小坂  浩
今月の推論 沈みゆく日本ビジネス
時来りて語る者
総 論 下水道管路マネジメントサイクルの標準化に向けて
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課事業マネジメント推進室
小松 孝輝
状態監視保全による老朽化対策
横浜市環境創造局下水道管路部管路整備課長
早川 正登
下水道管路の老朽化対策の本格化に向けて ~改築推進技術への期待~
(一社)管路診断コンサルタント協会技術副委員長
飯干 秀樹
特 集 老朽管きょの入替えだけでなく諸課題の解決に挑む改築推進工法リバースエース
アイレック技建(株)非開削推進事業本部
森  治郎
省スペース設備でマンホールから発進・到達可能な改築推進工法EXP工法
EXP工法協会会長
佐藤  徹
KRM(小口径管改築推進工法)の開発 1号マンホールから発進可能な既設管回収型改築推進工法
機動建設工業(株)機動技研所長
森長 英二
ベルリプレイス工法 ~塩化ビニル管で経済性と施工スピードに優れた改築推進を実現~
ベル・ミクロ工法協会技術委員長
保立 尚人
投 稿 沈設立坑工法によるレジンコンクリート製マンホールの施工報告
~迅速施工で長寿命化対策への取組み~
大府市水道部下水道課下水道係
上國料昭博
随 筆 門仲界隈・菊川
日本エッセイストクラブ会員
齋藤 健次郎
ゆうぞうさんの山紀行 第45回 草津白根山
藤代 裕三
俳句会便り 第六十九回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り

-安全管理, 老朽化

© 2022 月刊推進技術