曲線 測量システム

2017年2月号 多様な線形に対応する測量技術

 日本の推進工事は昭和23年(1948)に尼崎で国鉄尼崎港線の軌道下にφ600mmの鋳鉄管6mを推進したのが始まりであります。そして昭和35年(1960)には阪急電鉄神戸線の軌道下のボックスカルバート施工に推進工法が採用されました。また初めての曲線施工は昭和40年(1965)に熊本市内で施工されています。創成期であるこの時期に、ボックスカルバート施工や曲線推進が試みられたということは推進工法への期待の大きさを感じます。
 その後数多くの人たちにより様々な技術革新が行われて密閉型推進工法へと進化し、泥水式推進工法・土圧式推進工法・泥濃式推進工法へと発展してきました。また昭和52年(1977)に開発された小口径管推進工法も独自の分野に成長しヒューム管等の高耐荷力管は勿論、塩化ビニル管が対象の低耐荷力管の施工も可能にして曲線施工も行われています。このような幅広い技術提供により推進工事は様々な工種へ展開され、下水道を始め電気・ガス・水道・通信等のインフラ整備で活躍しています。これらの設備には各々特性があり完成した管体に求められる機能も違うものになります。すなわち下水道管は流下のための勾配が重要になりますがその他の設備では縦断勾配は目的に沿って任意に決定することが可能です。
 一方インフラ設備が整備されるに従い施工条件が難しい箇所が残るようになってきています。例えば立坑の構築間隔が長くなる場合、急曲線でないと収まらない配置や既設構造物のすぐ横を通る近接施工が必要な場合がでてきます。また様々な地下構造物の輻輳する区間に施工することも要求されます。このような要望に応えるため更なる技術改良を行い推進工事技術は現在に至っています。
 このようなニーズに答えるには、長距離・曲線・急勾配等の様々な線形が必要となります。またそれらの線形を実現するための測量技術も欠かせません。本号では「多様な線形に対応する測量技術」というタイトルで、推進工事で施工した様々な線形とそれを実現した測量技術をご紹介したいと思います。推進工事はφ800mm以上の大中口径管と小口径管がありそれぞれの線形への対応も違うものになります。それらについても言及したいと思います。
(編集担当:稲葉富男・茂木清顕)

巻頭言 「知」の重要性
(株)常磐ボーリング会長(当協会理事)
瀬谷 陽一
今月の推論 役人を動かす仕組み
全日本発注者団体連合協議会副会長
総 論 多様なニーズ(線形)に対応する測量技術
(株)ソーキ顧問(本誌編集参与)
稲葉 富男
解 説 大中口径管推進における自動測量の意義
機動建設工業(株)関東支店長(本誌編集委員)
舩橋  透
次世代の位置検知技術 Aipos ~見えない光で高精度な位置検知を実現~
アイレック技建(株)非開削推進事業本部第二技術部
春木 誠也
極小口径呼び径250の曲線推進を実現したカーブモールミニ工法
地建興業(株)工務課課長
大石 真樹
光ファイバジャイロを搭載したSリード開発の経緯と施工事例
アースナビ推進工法協会事務局長
山田 俊則
アースナビ推進工法協会技術委員長((株)ジェイアール総研情報システム)
田村晋治郎
ベル工法 ~測量ロボットによる自動化測量システム~
ベル工法協会技術委員
小林 明夫
随 筆 未知の可能性
三井住友建設(株)技術本部技術研究所土木材料グループ
佐々木 亘
海外協力レポート         国土交通省
日本の推進技術習得のための第3回ベトナム研修生招聘
-当協会と(一財)下水道事業支援センターの協力により基礎知識から最先端技術を研修-

(公社)日本推進技術協会事務局
今さら聞けない
推進技術の豆知識
第23回 超大口径管って聞くけど、何のためにあるの? 構造の特徴は?
推進豆博士
ゆうぞうさんの山紀行 第11回 宝登山の_梅園
藤代 裕三
俳句会便り 第58回 中本郷顔記念「東雛」俳句会便り

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