2025年10月号　人材の確保と育成

　ここ数年、転職サイトのCM・広告を見る機会が増えたように思います。いずれも著名なタレントを起用して、転職によるキャリアアップ・スキル向上・処遇改善などをPRする内容となっており、あらゆる業界において「転職」という選択が定着してきていることを実感させられます。建設業界も例に漏れず、即戦力となる技術者を確保するため、各社が積極的にキャリア採用を実施している状況です。
　一方、新卒採用においては売り手市場が続いており、学生の進路希望や就職への考え方も以前とは変わってきているため、各社とも人材確保に苦慮しています。多くの企業が初任給の引き上げや福利厚生の充実を図り、新入社員の確保を目指しています。先に述べた「転職」という選択の定着に伴い、新卒で確保した社員の離職防止も大きな課題です。技術的スキルの指導とあわせて、エンゲージメント向上への取り組みも多くの企業が進めているところです。
　また、ここ数年で外国人技能者の受け入れも進んでおり、今や欠かすことのできない戦力と考える企業も増えていますが、建設業という危険を伴う業種の中では、言語や文化の面で様々な課題があるかと思います。
　本特集では、総論として地方自治体の土木・建築職への採用と育成の現状や建設系学生の就職への考え方などを紹介したうえで、発注者、コンサルタント、ゼネコン、専門業者、メーカによる人材確保・育成の取り組みについて解説しています。建設業を取り巻く環境は急速に変化してきていますが、その中でも各社が様々な工夫を考え、人材の確保・育成を進めていることが分かると思います。
　他産業と比較して技術の継承が難しく時間もかかる建設業において、人材の確保・育成は喫緊の課題です。本特集が皆様の企業における取り組みにお役に立てれば幸いです。（編集担当：山長聖和）