土被り

2022年10月号 土被り

 推進工法体系Ⅱ「計画設計・施工管理・基礎知識編」には「最少土被りは、掘削断面、土質条件、周辺の構造物及び施工方法等を考慮して十分なものとしなければならない。一方、大土被りについては、推進工法管に作用する地下水圧が管接手部における耐水圧の限度を超えるような場合は、検討する必要がある」とうたっています。
 このように、土被りが推進工事に及ぼす影響は、土質条件と同様に大きな工法決定の要件となり、それに見合った設計、計画、施工に対し十分な技術的根拠に基づく検討が必要です。
 このところ大断面のトンネル工法では、大深度の施工が当たり前のように行われていますが、推進工事でも推進管接手の止水性能が向上し、高水圧対応の管種が使用されています。
 それに伴い、高水圧下での施工条件をクリアするための対応対策を講じなければ安心・安全は保障されません。また、社会生活に及ぼす影響が少ない工法としてさらに進化しなければなりません。
 もし、トラブルが発生すればライフラインの遮断と同時に第三者災害に波及し、場合によっては人命にかかわる被害を伴うこととなります。従って、土被りの大小による対策は、施工費に波及するだけではなく、安心・安全に寄与していることを理解することが重要と思っています。
 本特集では、小土被り、大土被りでの計画設計に対するリスクアセスメント、トラブル回避するための方策手段等、施工計画に至るまでや、施工事例も交え、発注者、設計者、施工者や管材メーカーより述べていただき、確立された推進工法の発展につながる特集号となればと願います。
(編集担当:舩橋 透)

巻頭言 「推進工法」さらなる発展を
中西 俊博
㈱イセキ開発工機代表取締役社長
(公社)日本推進技術協会副会長
今月の推論 コロナ対策強化のために水道移管?丁寧な議論を!
知恵須納人
総 論 土被りの功罪
金田 則夫
(公社) 日本推進技術協会研究部長
特 集 泥水式掘進機によるパイプルーフ施工における土被りへの挑戦
~アンクルモールパイプルーフ工法の小土被りと大土被りの施工事例~

佐藤 徹
㈱イセキ開発工機海外営業部長
(本誌編集委員)
小土被り施工における留意点と地表面到達施工事例
森田 智
㈱アルファシビルエンジニアリング技術部長
営業線直下における泥濃式推進施工
今野 夏実
鉄建建設㈱土木本部 地下・基礎技術部
小土被り条件における函体推進・けん引工法技術
中村 智哉
アンダーパス技術協会事務局長
植村技研工業㈱立体交差事業部次長兼営業部長
0.3MPaを超える高水圧下での安心・安全な推進施工 ~アルティミット工法~
中下 孝清
機動建設工業㈱関東支店部長
「小土被り」と「大土被り」への対策
島津 亮三
㈱紙谷工務店常務執行役員土木部長
ジオリード協会会員
近年の推進工法採用事例にみる土被りの変位と課題
榎林 幸憲
南野建設㈱東京支店副支店長
仮壁直接切削方式による止水注入について
髙橋 学
日特建設㈱事業本部技術営業部次長
水密性の信頼向上にチャレンジするWジョイント管
中村 勝則
藤村クレスト㈱技術開発本部開発営業部・部長
随 筆 門仲界隈・木場
齋藤 健次郎
日本エッセイストクラブ会員
ゆうぞうさんの山紀行 第80回 武尊山登頂記
藤代 裕三
俳句会だより 第八十一回 中本郷顔記念「東雛」俳句会だより

 

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