基礎知識 高耐荷力

2022年4月号 高耐荷力管推進工法の基礎知識

 今月号の特集テーマは、「高耐荷力管推進工法」です。
 高耐荷力管推進工法は、呼び径700以下の小口径管推進工法で、推進力を推進工法用管に負荷させて推進する工法です。1977年に最初の圧入式掘進機が販売され、その後、管路整備の需要の高まりとともに、泥水式、オーガ式、泥土圧式と、次々に先導体が開発されました。泥土圧式は、排土方式によってさらに分類されており、最初にスクリュ排土方式が開発され、後に圧送排土方式、吸引排土方式が開発されています。
 我が国のライフラインは充実し、道路地下にはあらゆるトンネル、管路が敷設されていますが、非開削で敷設された上下水道、ガス、電気、電気通信などの管路延長のほとんどは、高耐荷力管推進工法で施工されていると言えるでしょう。そして、これらを計画・敷設する過程で、高耐荷力管推進工法の技術は、発注者、施工者の要望に応えるべく進化し続けてきました。前述した泥土圧式の排土方式も、施工距離の長距離化の要望に応えるべく新しい排土方式が追加されてきたものです。長距離化の進展により小口径推進に合わせた測量技術が開発され、曲線施工も可能となりました。この小口径長距離曲線の推進技術は、日本独自の技術で世界に誇れるものであります。また、長距離化だけではなく、小口径でも巨礫を掘進できるなどの多様な土質に対応する技術、狭隘の場所でも施工が可能となるための小型立坑での発進・到達技術が進展しています。
 本特集では、現在まで、わが国の小口径管敷設を担ってきた高耐荷力管推進工法について、基本的な工法説明と施工者の要望に応えるべく進展してきた工法の特長について述べて頂き、それらの特長を活用した施工事例をご紹介いただきます。
 本特集での工法紹介、施工事例が、今後の設計、工事施工のご参考になれば幸いです。
(編集担当:佐藤徹)

巻頭言 令和4年度予算と推進技術への期待
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課長
松原 誠
今月の推論 『莫煩悩』決心と覚悟 人手不足は不可抗力なのか
傍若無人
総 論 高耐荷力管推進工法の概要と工法選定の留意点
(公社)日本推進技術協会技術委員会小口径部会
アイレック技建(株)非開削推進事業本部
今田 達朗
解 説 φ2,000mm立坑からの分割発進が可能なアンクルモールミニ工法
㈱イセキ開発工機建機事業本部
加藤 寛人
小口径長距離曲線推進工法 ─ジャット工法─
ジャット工法協会広報委員
濱田 十郎
コンパクトで高トルクを先導体駆動方式で実現させたコブラ工法
ジオリード協会会長
(株)ウイングス代表取締役
脇田 清司
長距離・曲線推進のパイオニア! エースモール工法
アイレック技建(株)非開削推進事業本部営業部
根本 亜矢子
泥土圧吸引排土方式の先駆者 ラムサス-S工法 ラムサス工法協会事務局技術営業課長
森 勇二
サン・シールド(株)工事部副部長
鳥居 篤
サン・シールド(株)工事部課長
井澤 豊
長距離・曲線でもスピーディーかつ高精度を可能とするドルフィン工法
ドルフィン工法協会事務局長
山田 俊則
高耐荷力管推進工法による液状化現象対策 ~特殊集排水管の敷設 KBドレーン工法~
KBドレーン工法協会事務局長
原辺 泰秀
随 筆 話題のインフラツアーに参加 6 〜多摩川上流水再生センター〜
長野油機(株)製造部資材課
山口 雅永
ゆうぞうさんの山紀行 第74回 サンディアゴ巡礼の旅
元横浜市下水道局
藤代 裕三

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